コラム

米ネオコン外交の終わりと日本の矜持

2024年03月30日(土)14時30分

日本はこの新しい状況に応じて外交、ものの考え方を変えないといけない。安全保障面でアメリカに大きく依存してきた日本は、その借りを返すために外交では「アメリカに貢献」することを柱としてきた。安倍政権初期の「自由と繁栄の弧」なども、その一例である。しかし今の日本は、そこまでアメリカに「忖度」する必要はない。「自由と民主主義」は自分のためにあれば十分で、それを途上国に上から目線で押し付ける必要もない。そしてアメリカに過度に依存したり、中国に脅されたりしないよう、自前の防衛力を強化することだ。


 

その上で、日本とはどういう国で、世界で何を欲しているのか、マジョリティーの世論を形成していく。その過程で、戦前は議会の権能が不十分だったために、軍部の専横がまかり通ってしまったことへの反省を、若い世代も含めて広くシェアすることが必要だ。

脱イデオロギーの時代。外交は理念の良し悪しではなく、結局、政官民での付き合いの広さ、深さ、そして国全体が持っているイメージの良し悪しで決まることになる。外交官も含め、上から目線、そして手続き優先の官僚主義を捨て、人と人としての付き合いをしていかないといけない。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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