「祖国防衛」へと大義がすり替えられたロシアのウクライナ戦争

9月21日には、ウラジーミル・プーチン大統領が部分動員令を発したことで、ビザが不要な旧ソ連諸国との国境に青年たちが殺到。そこから第三国へと出国した。その数は開戦直後と合わせて50万に達したと推定される。抗議行動が50以上の都市で起き、20以上の行政機関施設が攻撃を受けている。そしてそれは極東やカフカスの少数民族居住地域で目立った。兵員の徴募がこの地域に集中してきたからである。
しかしこの間、プーチンの支持率は80%前後を維持している。戦争を強く支持する者も3月の52%から11月の42%へ微減を示しているだけなのだ。9月の統一地方選挙では、与党「統一ロシア」が大勝している。
戦争の実態を知らされても、「それでは生ぬるい。もっと徹底的にやれ」と言う年長者も多いし、「アメリカやEUがロシアをつぶしにかかっている」という認識が広がれば、戦争支持はもっと広がるだろう。日本と違って、「戦争=悪」とはならないのである。
もっとも、ニュアンスは変わってきており、11月にクレムリンが内輪に行った調査では55%が和平を望み、戦争継続を望む者は25%のみになっている。7月の調査ではまだ、和平を望む者は30%ほどだった。
9月に部分動員令を発するまで、ロシア軍は志願兵を集めるのに苦労した。モスクワなど西半分の大都市での徴募はほとんど行われず、徴募はカフカス地域や東半分の少数民族に集中した。中には以前から折り合いが悪い民族同士が戦線で仲間同士撃ち合いをしたとも報じられている。
プーチンはこの間受け身で、世論をなだめるのに苦労した。11月末には戦死者の母親や妻たちと懇談している。そして大衆のためのバラマキにも努めた。3月には公務員給与を増額したし、今年1月初めの閣議では、インフラ・生活環境改善のための「国家プロジェクト」を蒸し返している。
これは本来、2024年の大統領選挙でプーチンを後押しするために考えられたものの戦争で顧みられなくなっていたものだが、いま蒸し返したことは、プーチンが大統領職にとどまる決意をしたことを意味する。
プーチンは今、戦争について言い訳するよりも、「西側はウクライナを使ってロシアをつぶし、分解しようとしている。ナチス・ドイツの侵略と戦った大祖国戦争を思い出そう」という、愛国主義キャンペーンに転換しつつある。悪いのはNATOだ、アメリカだ、ウクライナに戦車を提供したのが何よりの証拠だ、というわけだ。
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