長期政権を担う気構えに欠ける「つなぎの菅政権」が継ぐべきビジョン
縦割りとか規制とかIT化と言うが、一番の問題は政府、そして社会全体にある。全てのことに「所管」省を決め、何が起きても(起きなくても)所管省の責任を問う。そうなると彼らは縮こまり、不要なほど規制を強化して社会を窒息させてしまう。
これは政府主導とか官邸主導で片付く問題ではない。大げさに言えば、奈良時代に中国の集権制、律令国家制度を取り入れて以来の積年の弊だ(益もあるが)。大企業の新卒一括採用や集団行動偏重の学校教育など、社会全体の常識、習わしを変えないと、経済や社会は活性化するまい。
菅義偉首相は、団塊世代が出す最初の(そして多分最後の)総理大臣。団塊世代の使命は「つなぐ」ことにある。菅政権は戦前や次の自民党政権に向けてつなぐのではなく、未来の社会につなぐビジョンを打ち出してほしい。
<2020年10月6日号掲載>

アマゾンに飛びます
10月6日号(9月29日発売)は「感染症vs国家」特集。新型コロナに最も正しく対応した国は? 各国の成功例と失敗例に学ぶ。
トランプ肝いりの「ステーブルコイン」でドル急落? 2025.07.01
人口減少の日本が取り入れたい、デンマーク式「財団企業」の賢い経営 2025.06.14
アメリカが経済協力から撤退した今、日本が世界のODAで旗を振れ 2025.05.27
米国債デフォルトに怯えるトランプ......日本は交渉カードに使えばいい 2025.05.13
安倍元首相ならトランプに助け舟を出す...正反対な石破首相はどうすべきか 2025.05.02
ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年の恨み」の正体 2025.05.01
日本史上初めての中国人の大量移住が始まる 2025.04.26