コラム

日本人には分からない人種差別問題のマグニチュード

2020年06月16日(火)14時30分


しかし、アメリカやヨーロッパ、日本で展開される今回のデモを見ると、白人の参加も多い。彼らは、トランプが事実を歪曲した見え見えのプロパガンダで黒人抑圧を擁護していることに反発している。アメリカが自由と民主主義ではなく、頑迷保守、我利我欲の象徴として世界的な反発を受けるのは、実に60年代のベトナム反戦デモ以来。当時学生だった筆者には、懐かしい。

いまY世代、Z世代と呼ばれる若い世代は、あの頃の若者と同じく、これまでの社会とは違う価値観を持ち、何かを変えようとしている。「倨き ょごう傲・貪欲・無知」という三大悪を体現するかに見えるトランプ的アメリカと違い、彼らはやりがいのあることや生きがい、ほかの人の役にも立つことを追求する。16年にはトランプに投票した中西部の白人も、ちゃんとした職に就くことができれば正気を取り戻すだろう。

10年前、アラブの国々では民主化を求める大衆行動「アラブの春」が燃え盛った。10年後の今、アメリカでも欧州でも日本でも起きている黒人差別反対運動は、「トランプ的アメリカ」に反対するアメリカの春、世界の春になるかもしれない。

<2020年6月23日号掲載>

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2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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