コラム

中国の時代が去っても、グローバリゼーションは終わらない

2020年02月19日(水)16時15分

一方、中国の急速な軍備増強と南シナ海での攻勢などに神経をとがらせるアメリカは、軍需関連の先端技術の対中輸出を制限しようとしている。そしてその規制は、日本やEUの企業も守らざるを得ない。

現在見られているこうした変化は、グローバリゼーション全体の終焉と言うよりは、中国の隔離(segregation)という現象だ。もっともそれは、冷戦時代のような完全なものではない。中国市場目当ての直接投資は今後も続くであろうし、軍需関連以外の先端技術の取引が途絶えることもない。

中国が舞台の袖に退いても、先進国から途上国へ向かう投資の規模が変わることはないだろう。これからは、人口13億人のアフリカ大陸が直接投資の受け皿となり、新たな「成長のエンジン」として期待されている。

グローバリゼーションの舞台は回り続ける。中国の時代が去り、少しの縮小期を経て再出発ということになるだけだろう。

<本誌2020年2月25日号掲載>

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2020年2月25日号(2月18日発売)は「上級国民論」特集。ズルする奴らが罪を免れている――。ネットを越え渦巻く人々の怒り。「上級国民」の正体とは? 「特権階級」は本当にいるのか?

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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