米ロ中に引けを取らないベトナム外交のすごみ
このロシアをベトナムは、軍事面での対中抑止力として利用している。ロシアと中国は準同盟国だが、それはアメリカに対抗するための政略結婚にすぎない。米中が接近すれば、ロシアは中国に対して協調から牽制に転ずる。
ベトナムは南シナ海に面する南部カムラン湾にロシア艦の寄港を認めているだけではない。ロシアから戦闘機や駆逐艦、潜水艦6隻を購入している。これらの戦力は、中国にとって南シナ海での不気味な攪乱要因だ。
大国とのむやみな対立を避ける一方、防衛力を強化し無言のすごみを利かせる。それでも相手が襲ってきたら断固として撃退――ユーラシア大陸の東のベトナムやフィリピン、西のベラルーシ、中央のウズベキスタンなど、これらしたたかな中小国は大国をあやし、張り合わせることで国の誇りを保っている。
米大統領の訪問に首都の米軍基地を使われても騒がない日本に、ベトナムの爪のあかでも煎じて飲ませたい。日本もこんな外交ができればいいが。
<本誌2017年12月19日号掲載>
自民が下野する政権交代は再現されるか 2024.04.24
北朝鮮が舞い上がる「ウクライナ戦争特需」の注文主はロシア 2024.04.09
米ネオコン外交の終わりと日本の矜持 2024.03.30
ウクライナでロシアとNATOは直接対峙するか? 2024.03.09
南海トラフ巨大地震で日本を失わないために 2024.02.20
「トランプの逆襲」で世界はどうなる? 2024.02.08
「近代」が崩れゆく世界で、日本の青年は民主主義を守れるか? 2024.01.23