コラム

高市早苗&李在明の想定外な「蜜月」は、いつまで続く?

2026年01月31日(土)15時50分

「金大中・小渕時代よりも強い関係」

李が得たものも大きかった。最も重要だったのは、日本側から1942年に山口県宇部市で起きた「長生(ちょうせい)炭鉱水没事故」の朝鮮半島出身犠牲者の遺骨のDNA鑑定に向けて、実務者協議の開始について了承を得たことだったろう。

これにより李は、その歴史修正主義的傾向で韓国メディアに「女性版安倍」と呼ばれ、警戒されている高市から、歴史認識問題そのものに関わる具体的な譲歩を取り付けた形になった。韓国政府関係者はこの成果について、現在の両首脳の関係は「韓日パートナーシップ宣言を発表した金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相の時代よりも強い」と手放しで評価した。


とはいえ、両国が互いに譲歩した首脳会談の成功は、両国を取り巻く国際環境の深刻化の結果でもあった。台湾問題で中国との対立を深める高市政権は、突如としてベネズエラに侵攻し、グリーンランド領有をめぐる問題でも強硬な発言を繰り返すトランプ米政権との関係にも苦慮している。4月に予定されている米中首脳会談では、共に「ブロック主義的」な志向を強める両国の間で日本を置き去りにした妥協が成立する可能性もささやかれている。

国際環境が厳しさを増すなかで、難しい外交の舵取りを迫られているのは李政権も同様である。

プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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