コラム

人呼んで「暗黒のプリンス」...エプスタイン事件で逮捕のマンデルソンとは?

2026年02月24日(火)19時42分

そして今や、彼は他の多くの金持ちや権力者たちと同様に、ジェフリー・エプスタインとつながりがあったことが判明した。

マンデルソンは同性愛者だけに、エプスタインによる未成年女性の性的搾取の内情には通じていなかったと主張することができるから、当初は調査を免れていた可能性がある。


だが、エプスタインが未成年者との性行為で有罪判決を受けた後も彼を「親友」と呼んでいたことが電子メールで明らかになり、マンデルソンは駐米大使を解任された。

最新の公開文書からは、政治的腐敗も発覚した。マンデルソンは世界金融危機の時期に、多額の資金を受け取ってエプスタインに最重要の内部情報を提供していたのだ。2月23日にマンデルソンは英アンドルー元王子に続いて「公務上の不正行為」の疑いで逮捕され、翌日未明に釈放された。警察は捜査を続けるとしている。

マンデルソン自身は、容疑を否認(とはいえ、7万5000ドルを受け取ったのは「記憶にない」と歯切れの悪い言い方で、全面的な否定というわけでもない)。彼は賢く刑罰を逃れられるかもしれないが、彼の政治生命はこれで終わりだ。

過去のスキャンダルも富豪との交友絡み

マンデルソンは労働党を離党し上院議員の職(こちらも選挙の洗礼を浴びる必要がない高給の閑職で、今度は国内版)を辞したが、「追い込まれる前に逃げた」と見られている。

そんなわけで、マンデルソンを仲間に復帰させたスターマーがまずい立場になっている。マンデルソンがエプスタインの友人であることは既に知られていたから、その事実だけでも彼を権威ある地位から排除するには十分だったはずだ。加えて、政権時にマンデルソンが起こした2つのスキャンダルは、どちらも富豪たちとの「個人的交友」絡みのものだった。

だから今、エプスタイン文書の最新情報によって、マンデルソンの疑惑は非常に高まっている。スターマーは今後、真っ先にマンデルソンを非難することで、世間の注意を自分からそらそうとするだろう。でもそんなことでうまくいくはずがない。キア(・スターマー)、判断力はプア。


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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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