コラム

僕とクソダサいマイカップの抱腹絶倒で数奇な運命

2025年05月31日(土)19時12分

そして、3回目で最も冒険的な旅行へ。オランダのロッテルダムからブルガリアの黒海沿岸のバルナへ、バルカン半島を一周し、トルコのイスタンブールに行って、戻ってきた。全て電車と長距離バスの旅だ。カップには傷ひとつない。かなりマイナーなモンテネグロにまで行ったのに!

これはおそらくヨーロッパで最も旅したカップだろう(飛行機内用のカップを除けば。でも航空会社のカップは機外の景色なんて見たことがないだろうからその旅程「距離」は無効だ)。


僕が死んだら、誰かが絶対にこう言うだろうと、僕は考えるようになった。

「彼はいつもそのカップを持っていた。彼は本当にそれを愛していたに違いない、異様に小さくて、パッとしない花柄だけどね。結局のところ、例えば海外暮らしとかほんの短期間用に買って、その後は誰かにあげてしまうようなしろものだ......それでもコリンは明らかに、何かしら深くて感情的なつながりであのカップと結ばれていた。彼の棺に一緒に入れてやろうじゃないか、彼らが永遠に一緒にいられるように......」

だから僕はついに、心を痛めながら、それを手放す決意をした。でも、思い出は胸に刻まれている。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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