コラム

お手軽スポーツ賭博がイギリスを蝕む

2025年04月02日(水)16時06分
イギリスではスマートフォンで気軽にスポーツ賭博

イギリスではスマホ片手にいつでも誰でも気楽に賭けられる CHRIS RATCLIFFEーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<規制緩和とテクノロジーの進化でいつでも誰でも何にでも賭けられるようになったイギリスの、ギャンブルとスポーツのゾッとする現状>

僕がひいきにしている英プレミアリーグのアーセナルが、アイバン・トニーの獲得に興味を示しているとの噂がある。

彼の名を聞いて思い浮かぶのは「得点力」(まさにわがチームにはこれが必要)というより「トラブル」とか「ギャンブル」という言葉だから、心配になってしまう。


トニーは2023年、サッカー賭博をしてプレミアリーグの規則に違反したとして、8カ月間の出場停止処分を受けた。長期休養は彼のサッカー人生にマイナスでしかなかった。比較的短いとされるサッカー選手生命においてこれほどの時間と収入を失うとは、明らかにトニーは愚かだった。

一方で、トニーは極端なケースだっただけで、彼のような若者にとって決して異例だったわけではない。

イギリスではここ一世代でギャンブルが爆発的に拡大し、当然ながらギャンブル依存症の問題も急増している。まず、ブレア政権時代の無謀な「改革派」政策の一環で、2005年に賭博業界が大幅に規制緩和された。さらに、テクノロジーの進歩でいつでもどこでも何にでも賭けることが容易になった。

どちらかの要因だけでも影響はかなり大きかっただろうが、組み合わさることで莫大な相乗効果が出ている。ギャンブルはごく普通になっただけでなくそこらじゅうに存在するものになった。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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