リベラルな経済政策でより支持を広げる

さらに巧みなのは、この点である。以前にこの欄でも書いたが、アベノミクス、特に第1の矢である金融緩和、第2の矢の財政出動は特に欧州ならばリベラル派、左派も積極的に採用してきた政策だ。こうした政策は労働者の雇用を確保することにつながり、現に日本でも一定の成果は出ていた。

保守的な思想を持ちながら、経済政策はものすごくリベラルの方向に振る。イデオロギーでつながることができる味方へのアピールポイントを打ち出しながら、より広範な支持層を獲得する。安倍政権が選挙で勝利を収めたポイントを彼女は積極的に引き継ごうとしている。

今回の総裁選で、高市支持層による苛烈な河野太郎バッシングもあって、安倍政権が支持を調達していた「穏健な保守層」はおそらく岸田文雄に流れた。だが、本書のセールス状況、そして政調会長に就任した事実を踏まえる限り、高市にとって今回の総裁選はかなりの成功だ。次こそは、と言えるのだから。

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