コラム

この本の売れ行きは、高市早苗の「次」を示唆している

2021年10月19日(火)06時00分

リベラルな経済政策でより支持を広げる

さらに巧みなのは、この点である。以前にこの欄でも書いたが、アベノミクス、特に第1の矢である金融緩和、第2の矢の財政出動は特に欧州ならばリベラル派、左派も積極的に採用してきた政策だ。こうした政策は労働者の雇用を確保することにつながり、現に日本でも一定の成果は出ていた。

保守的な思想を持ちながら、経済政策はものすごくリベラルの方向に振る。イデオロギーでつながることができる味方へのアピールポイントを打ち出しながら、より広範な支持層を獲得する。安倍政権が選挙で勝利を収めたポイントを彼女は積極的に引き継ごうとしている。

今回の総裁選で、高市支持層による苛烈な河野太郎バッシングもあって、安倍政権が支持を調達していた「穏健な保守層」はおそらく岸田文雄に流れた。だが、本書のセールス状況、そして政調会長に就任した事実を踏まえる限り、高市にとって今回の総裁選はかなりの成功だ。次こそは、と言えるのだから。

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プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

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