- HOME
- コラム
- デジタル権威主義とネット世論操作
- アメリカのサイバー戦略はなぜ失敗したのか──中国が…
アメリカのサイバー戦略はなぜ失敗したのか──中国が築く「閉鎖ネット」と地政学的優位
サイバー空間に構築される地政学的ネットワーク
中国が輸出しているのはGreat Firewallだけではない。顔認識システムから統合的な統治システムとも言うべきものを世界各国に輸出している。そのシステムは大きく3つの要素からできている。

このシステムは都市単位、国単位での導入が可能で、それらをネットワークすることで中国には導入国の状況が導入国政府よりもよくわかるようになっている。この統合統治システムには、アメリカのサイバー防御には存在しない、いくつかの特徴がある。
ひとつはデータフュージョンによる統合管理および行動予測、もうひとつは閉鎖ネット化による地域単位での非対称性の実現だ。データフュージョンとは、監視カメラ、ナンバープレート認識カメラ、SNSアカウント、電話番号、位置情報、顔の特徴、血液型、身長などあらゆる情報を統合し、活用するものだ。
たとえば新疆ウイグル自治区では一体化統合作戦プラットフォーム(Integrated Joint Operations Platform: IJOP)が稼働しており、詳細な個人情報および行動履歴を追跡している。また、IJOPとは別に天山対テロクラウド(Tianshan Anti-terrorism Cloud)という予測システムによって、テロや危険な活動を予測することも行っている。
もうひとつの重要な特徴は閉鎖ネットである。閉鎖ネットは、ひらたく言うと、国家をひとつの単位として閉鎖したネットワークにすることは、企業が自社内部のネットワークを外部からアクセスできないようにしているのと同じである。
中国やロシアのような権威主義国は閉鎖ネット化を目指しており、実現すれば他の国には自由にアクセスできるが、他の国から自国には自由にアクセスできない非対称な環境を実現できる。
さらに閉鎖ネットを都市単位にしたのが、中国型スマートシティだ。逆に国をまたがって地域の閉鎖ネットを構築することもできる。多層化し、地域閉鎖ネット、国家閉鎖ネット、都市閉鎖ネットと複数階層の閉鎖ネットになる。
アメリカを中心にした世界では、インターネットは開かれたものとなっている。しかし、中国やロシアはそうでないネットワークを指向している。そのためのGreat Firewallであり、統合統治システムであり、スマートシティなのである。
静かに進む「デジタル植民地化」──なぜ日本はデジタル主権を語らないのか 2025.11.28
アメリカのサイバー戦略はなぜ失敗したのか──中国が築く「閉鎖ネット」と地政学的優位 2025.10.23
認知戦で狙われているのは誰なのか?──影響工作の本当の標的 2025.09.03
民主主義をむしばむ「ハイブリッド脅威」──今そこにある見えない戦争 2025.07.25
「AIファクトチェック」はもはや幻想? 非常時に裏切るチャットボットの正体 2025.07.08
アメリカ発「陰謀論が主流に」──民主主義と情報の未来、日本は対岸の火事か? 2025.06.02
「騙されるAI」0.001%の誤情報の混入で誤った回答を導く巨大な罠 2025.05.05
-
プロダクトエンジニア「ポテンシャル採用/大手や外資系など3000社に導入/HR SaaS「ミキワメ」/東京都/東京メトロ日比谷線虎ノ門ヒルズ駅から徒歩2分/港区虎ノ門
株式会社リーディングマーク
- 東京都
- 年収400万円~550万円
- 正社員
-
プロダクトエンジニア「ポテンシャル採用/大手や外資系など3000社に導入/HR SaaS「ミキワメ」/web系SE・PG/東京都/港区虎ノ門
株式会社リーディングマーク
- 東京都
- 年収400万円~550万円
- 正社員
-
外資系日用品メーカーで衛生製品の品質保証/薬剤師
ゴージョージャパン株式会社
- 東京都
- 年収600万円~800万円
- 正社員
-
「ITサポート」外資系企業のIT課題を解決
シスアミック株式会社
- 東京都
- 月給25万円~50万円
- 正社員






