ウクライナ軍総司令官、ロシアの春・夏の作戦は失敗と指摘

ウクライナ軍のシルスキー総司令官は、ロシアが今年春と夏の攻勢で目標を達成できなかったと指摘した。議会で2024年11月撮影。ウクライナ大統領府提供(2025年 ロイター)
Max Hunder
[キーウ 26日 ロイター] - ウクライナ軍のシルスキー総司令官は、ロシアが今年春と夏の攻勢で目標を達成できなかったと指摘した。戦場でロシアがウクライナの2倍の砲弾を撃っていると述べた。
シルスキー総司令官は「ロシア軍の春と夏の作戦は事実上阻まれたと言える」と会議で記者団に語った。
最近のロシア軍は、ドローン(無人機)などの攻撃に阻まれ、前線の数カ所で少しずつ前進している状況。ウクライナは、わずかな前進にも多くの人的犠牲が出ていると指摘する。死傷者の情報はウクライナもロシアもめったに開示しないが、西側情報機関はウクライナでの死傷者数が100万人を超えると推定する。
シルスキー氏によると、現在ウクライナの前線は1250キロメートルに及び、推定71万2000人のロシア軍兵士が戦闘に参加している。
ウクライナ北東部スムイ州と東部ハリキウ州に「緩衝地帯」を作り、ドネツク州のポクロフスク市を占領して同州全域を掌握するというロシア軍の計画は失敗に終わったと述べた。
現在、ロシア軍はドネツク州の70%以上を管理下に置いており、全面的な占領は重要な作戦目標となっている。
シルスキー氏は、ロシア軍が初夏以降、渓谷や森林地帯で、4─6人の小規模な突撃部隊を多数、同時に使用する戦術を実施していると述べた。
一方、ウクライナ軍はこの2カ月間にロシア領内の空軍基地、車両基地、工場など85の軍事・軍需産業施設を攻撃したと説明した。
ロシアは、ウクライナで着実に進攻しており、ウクライナは早急に和平交渉に応じるのが最善だと述べている。ウクライナは、ロシアの交渉条件は降伏に等しいとして拒否している。