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ネパール首相が辞任、反汚職デモ激化 首都空港が閉鎖

2025年09月09日(火)20時06分

 ネパールのオリ首相はデモ隊と警察の衝突が続く中、辞任した。側近が9日明らかにした。ニューヨークの国連本部で2024年9月撮影(2025年 ロイター/David Dee Delgado)

Gopal Sharma Navesh Chitrakar

[カトマンズ 9日 ロイター] - ネパールのオリ首相は9日、デモ隊と警察の衝突が続く中、辞任を発表した。政府は首都カトマンズに無期限の外出禁止令を発令したが、反汚職を訴えるデモ参加者は命令を無視して警察と衝突した。

SNS(交流サイト)の禁止に端を発した抗議デモが激化し、8日には19人が死亡、100人以上が負傷した。政府はSNSの禁止令を解除したが抗議活動はやまず、オリ氏は辞任に追い込まれた。

オリ氏はポーデル大統領に宛てた辞表で、「国内の困難な状況を鑑み、問題の解決を促進し、憲法に従って政治的解決を図るために本日付けで辞任した」と表明した。

ポーデル氏の側近はロイターに対し、辞表は受理され大統領は「新たな指導者(選出)のための手続きと協議」を開始したと語った。

軍はオリ氏の辞任を受け、Xへの投稿で国民に「自制」を呼びかけた。

オリ氏は同日、全政党による会議を招集し、暴力は国家の利益にならないと強調。「いかなる問題についても、平和的対話によって解決策を見つけなければならない」と述べていた。

しかしデモ参加者は外出禁止令を無視して国会議事堂前など市内各所に集まり、タイヤに火をつけたり警察官に石を投げたりした。

目撃者によると、デモ参加者は政治家の自宅に放火した。地元メディアは閣僚らが軍のヘリコプターで安全な場所に避難したと報じた。

航空当局は、デモ参加者による放火で発生した煙が航空機の安全を脅かす恐れがあるとして、カトマンズの国際空港を即時閉鎖したと発表した。

数十万人のネパール人移民労働者を抱える隣国インドは、関係者全員が自制し、話し合いを通じて問題を解決することを期待すると述べた。

日本、フランス、英国、ドイツ、米国などの大使館は共同声明を発表し、全ての当事者に対し最大限の自制を求め、さらなる緊張の激化を避け、基本的人権が確実に保護されるよう要請した。

ロイター
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