アングル:金正恩氏の娘ジュエ氏、訪中同行で国際デビュー 後継最有力か

9月3日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(写真)が10代の娘である「ジュエ」氏と共に北京を訪問していることが確認された。写真は同日、北京で代表撮影。スプートニク提供(2025年 ロイター)
Josh Smith
[ソウル 3日 ロイター] - 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が10代の娘である「ジュエ」氏と共に北京を訪問していることが確認された。外遊への同行が公になるのは初めてで、後継者ではないかとの憶測が強まりそうだ。
北朝鮮は娘の名前や年齢を明らかにしたことはないが、韓国の情報当局は米国の元バスケットボール選手デニス・ロッドマン氏が「ジュエ」と紹介されたとする娘だとみている。ロッドマン氏は2013年に金氏一家を訪れた際、赤ん坊だったジュエ氏を抱いたと語っている。
ジュエ氏とみられる人物は平壌から北京へ一晩かけて移動するために使われた装甲列車から降りた父親のすぐ後ろにいた。
米シンクタンク「スティムソン・センター」の北朝鮮専門家マイケル・マッデン氏は「現在、ジュエ氏は北朝鮮の次期最高指導者の最有力候補だ。彼女は外国の指導者らとあいさつし、交流するという貴重な経験を積んでいる」と語る。
アナリストによれば、金正恩氏が父親の故金正日総書記の外遊に同行した形跡はない。正日氏は1950年代に父である故金日成主席との外遊経験がある。
北朝鮮の国営メディアは、2022年の大陸間弾道ミサイル発射で父親に付き添うジュエ氏が初めて世界に公開されるまで、正恩氏の子どもについて何も報じたことはなかった。
他の子どもについては依然としてほとんど知られていない。
韓国の情報機関は、ジュエ氏が最終的に男性優位の「金王朝」でトップに立てるかどうかという疑問はあるものの、今のところ最も有力な後継者だと考えている。
推定で13歳前後のジュエ氏は、5月にロシア大使館のイベントで外交デビューを果たすなど、注目を集めるイベントに出席するようになっている。
スティムソン・センターのレイチェル・ミニョン・リー研究員は「彼女の公の場への登場範囲は、軍事関連の場から政治・経済関連の場へと年々確実に広がっている」と指摘。「もしこれが後継に向けた動きの一部ならば、『キム・ジュエ』の国際舞台でのデビューと見なされることになる」と述べた。
ただ、今回の同行で正恩氏の後継者であることを意味するかどうかを結論付けるのは時期尚早だとし、北朝鮮のメディアが訪中するジュエ氏をどのように報道するかに注目していると話した。