イラン、「トランプ回廊」を警戒 ロシアも懸念

イランは9日、旧ソ連構成国のアゼルバイジャンとアルメニアの和平に向けた共同宣言に盛り込まれた輸送回廊を阻止すると述べた。ホワイトハウスで8日撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
Parisa Hafezi Andrew Osborn
[ドバイ/モスクワ 9日 ロイター] - イランは9日、旧ソ連構成国のアゼルバイジャンとアルメニアの和平に向けた共同宣言に盛り込まれた輸送回廊を阻止すると述べた。同国メディアが報じた。
共同宣言は、トランプ米大統領がホワイトハウスに招いた両国首脳が合意し署名した。この中には、アルメニア南部を通り、アゼルバイジャン本土とアルメニア領を挟んだ飛び地ナヒチェワンを結ぶ「国際的な平和と繁栄のトランプ回廊(TRIPP)」の設置が盛り込まれた。米国はこの回廊の独占開発権を持つとしている。南コーカサスと呼ばれるこの地域は、石油やガスのパイプラインが縦横に走る戦略的に重要な地域だ。
両国と国境を接するイランがどのように回廊を阻止するかは不明。ただ最高指導者ハメネイ師の最高顧問アリ・アクバル・ベラヤティ氏は声明で、イラン北西部で行われた軍事演習は、地政学的な変化を阻止する同国の準備と決意を示すものだとし、「この回廊はトランプ大統領が所有する通路になることはなく、むしろトランプ大統領の傭兵たちの墓場になるだろう」と述べた。
イラン外務省は先に、共同宣言を「地域の恒久的な平和に向けた重要な一歩」として歓迎する一方で、「地域の安全と恒久的な安定を損なう」可能性のある国境付近への外国の介入には警告を発した。
今回の和平に向けた合意に、伝統的な仲介者であるロシアは関与していない。ロシア政府は、ワシントンでの首脳協議を支持すると述べたが、中東における西側の仲介努力の「悲しい経験」を避けるために、「ロシア、イラン、トルコといった近隣諸国の支援を得て、この地域の国々が独自に作った解決策」を実施すべきと提唱した。
アゼルバイジャンと関係が深いトルコは合意を歓迎した。