焦点:「石破降ろし」予算編成に飛び火も、今秋逃せば越年不可避

参院選敗北に伴う「石破降ろし」は、総裁選前倒しの要否を諮ることで大きく前進した。写真は8月1日、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Takaya Yamaguchi Tamiyuki Kihara
[東京 8日 ロイター] - 参院選敗北に伴う「石破降ろし」は、総裁選前倒しの要否を諮ることで大きく前進した。総裁選実施が決まれば今秋のタイミングも視野に入るが、全国の党員を巻き込んだ正規の総裁選を実施する場合には、相応の準備期間が必要になることも予想される。実施時期次第で年末の予算編成に飛び火しかねない情勢だ。
<総裁選の要否を判断へ>
自民党が8日開催した両院議員総会では、石破首相の責任を追及する意見が再び相次いだ。
複数の出席議員によると、臨時総裁選の実施を求める声が多数上がり、党総裁選管理委員会が党則に基づき、党所属の全国会議員と都道府県連代表に意向を確認することが決まった。こうした「リコール規定」に基づく総裁選が実施されれば、党としては初めてとなる。
7月の参院選で敗北し、衆参ともに少数与党となった自民党にとって、もともと野党との連立は大きな課題だった。石破首相がこのまま続投した場合、候補として取りざたされる日本維新、国民民主、立憲民主各党は、いずれも現状では連立に否定的だ。政府内には「連立構想は宙に浮いた」(経済官庁幹部)との声もあった。
ただ、仮に総裁選の前倒しが決まった場合、石破首相が再び立候補するのかを含め事態は一気に流動化する。
<待ち受ける本予算編成>
総裁選の有無に加え、いつ実施するかも今後の焦点となる。
臨時国会に先立つ9月のタイミングを逃せば「年末の予算編成作業を考慮すると、次のタイミングは年明けになる」(関係者)との声が政府・与党内にはある。
衆参ともに少数与党となった現政権下では、野党との連立構想を描けなければ、予算案や予算関連法案を通せない。「どう連立を組むかで予算付けすべき政策も変わる。早く枠組みを決めないと秋以降も動けない」と、前出の経済官庁幹部は語る。
予算編成を巡り、石破首相は「成長と分配の好循環が動き始めている中、成長型経済への移行を確実なものとする」とうたうが、仮に総裁選そのものが越年すれば、予算案の年度内成立も危うい。
<森山幹事長の去就焦点>
今後の財政運営を占う上では、森山裕・党幹事長の去就も注目されていた。異例の予算修正では野党との政策調整に奔走。「譲れない一線だった赤字国債を追加発行する事態」(複数の政府関係者)を回避するため、野党各党との舞台回しを担った。
25年7月の参院選に先立つ公約取りまとめでは、公明党や参院自民党からの消費税の減税要求を封印した。「消費税を守れるのは森山さんしかいない」(別の関係者)とされる。
両院総会を控えた4日、森山氏は鹿児島県連会長を辞任する意向を示した。近く正式に参院選鹿児島選挙区で公認候補が敗れた責任を取る。
「トランプ関税」に伴う景気下支え策など複雑な対応が求められる中、森山氏の手腕への期待感から「禊(みそぎ)は県連会長の辞任で十分」(前出と別の関係者)と擁護する声もあったが、事態は流動的になった。