インドネシア第2四半期GDP、予想外の上振れにシンクタンクが異議

インドネシアの複数の経済シンクタンクは6日、政府が5日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)のデータについてより詳細に説明するよう求めた。写真はジャカルタの街。2021年8月に撮影(2025年 ロイター/Ajeng Dinar Ulfiana)
[ジャカルタ 6日 ロイター] - インドネシアの複数の経済シンクタンクは6日、政府が5日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)のデータについてより詳細に説明するよう求めた。成長率が2年ぶりに大きくなったという公式発表に異議を唱えている。
インドネシア統計局が発表したデータによると、インドネシア経済は4月から6月に前年同期比で5.12%成長。伸び率は堅調な投資と家計消費が押し上げて2023年第2・四半期以来の高さになった。
成長率はロイターが調査したアナリスト26人の予想中央値(4.8%)を上回っており、最も楽観的な予測の4.9%さえも超えていた。第1・四半期の成長率は4.87%だった。
しかしながら、ジャカルタに拠点を置く一部の独立系研究機関の経済学者たちは自動車販売の減少、外国直接投資と製造業活動の縮小、レイオフ報告のような要因から、第2・四半期の経済活動は加速したのでなく減速したと主張した。
インドネシア統計局のアマリア・アディニングガル・ウィディヤサンティ局長はGDPデータの信頼性を巡る懸念について記者から質問を受けた際、国際基準に則って業務を遂行していると答えた。
大統領府はロイターのコメント要請に応じなかった。ハルタルト調整相(経済)は5日夜、データを操作した可能性について懸念があると質問されて「そんなことはない」ときっぱり否定した。
<正確なデータの重要性>
開発経済財政研究所のエコノミストであるアンドリー・サトリオ・ヌグロホ氏はロイターに「政府は正確なデータがなければ適正な政策を打ち出せないし、もしも操作の兆候が存在するならばさらに深刻だ」と語った上で「政府のデータが経済状況を反映していないのならば投資家の信頼が低下する可能性があるだろう」と警告した。
経済・法律研究センターの事務局長ビマ・ユディスティラ氏は、政府が経済成長率を29年までにプラボウォ大統領の目標の8%に引き上げるため、データを政治的に利用していると主張した。
経済改革センターの事務局長モハマド・ファイサル氏は、GDPのデータはこれまで自らの調査結果と一致していたが、第2・四半期の数値はとりわけ家計消費と投資に関する主要指標から大きく離れているとの分析結果を示した。
インドネシア大学の経済・社会研究所のジャヘン・レズキ氏は、第2・四半期の企業収益報告の売上高もまた減少しておりGDP報告と対照的だと指摘する。
有力な企業団体のインドネシア経営者協会の公共政策部門責任者であるストゥリスノ・イワントノ氏はロイターに「データが間違っているとは言っていない」と断りつつも「技術的な計算や方法論に誤りがないよう願っている」とくぎを刺した。