米政府が温室効果ガス「危険性認定」取り消し提案、温暖化対策に大打撃も

7月29日、米環境保護局(EPA)は温室効果ガスが人間の健康と福祉に対して危険をもたらすと公式に認定した判断、いわゆる「危険性認定」を取り消す提案を発表した。写真はEPAの看板。2021年5月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly)
Valerie Volcovici David Shepardson
[ワシントン 29日 ロイター] - 米環境保護局(EPA)は29日、温室効果ガスが人間の健康と福祉に対して危険をもたらすと公式に認定した判断、いわゆる「危険性認定」を取り消す提案を発表した。最終的にこれが実現すれば、米国の温室効果ガスに関する全ての規制が法的根拠を失い、今後の温暖化対策の取り組みに壊滅的な打撃を与えかねない。
EPAのゼルディン長官は、ライト・エネルギー長官とともに出席した中西部インディアナ州のイベントで、危険性認定を取り消すと明らかにした上で、これは規制当局に経済を守るよう求める有権者の声を反映したものだと主張。「トランプ大統領の指導力の下で、われわれは環境保護と経済成長を両立させる道を選ぶ」と語った。
ゼルディン氏は、危険性認定取り消しによる自動車排ガス基準を含めた全ての温室効果ガス規制の撤廃を通じて年間540億ドルのコストを削減できるとの見積もりも示した。
取り消し提案の根拠としてゼルディン氏は、昨年の連邦最高裁判所による判断で、EPAには温室効果ガスを規制する権限を有さないことが判明した点を挙げた。
ただ議会が大気浄化法を修正し、政府の温室効果ガス規制義務が明記されれば、EPAはその決定に従うと付け加えた。
環境保護団体はこの提案に猛反発。温暖化の悪影響が一段と深刻になる中で、米国の気候変動対応の道筋が途切れることになると批判した。
複数の団体や一部の州、法律専門家によると、提案に対して今後異議を申し立てる訴訟も提起される見通しだ。