英、選挙権年齢16歳以上に引き下げへ 29年総選挙から実施の見通し

英国のスターマー政権は17日、英国内の全ての選挙に関する選挙権年齢を18歳以上から16歳以上に引き下げる方針を公表した。2022年5月、ロンドンで撮影(2025年 ロイター/Peter Nicholls)
[ロンドン 17日 ロイター] - 英国のスターマー政権は17日、英国内の全ての選挙に関する選挙権年齢を18歳以上から16歳以上に引き下げる方針を公表した。民主主義に対する国民の信頼を高める取り組みの一環。これにより、2029年までに予定される次回総選挙以降、16、17歳の若者も投票できる見通しとなった。
スターマー首相は英放送局ITVニュースで、16、17歳は「働くのにも、税金を払うのにも十分な年齢だ。納税するならば使い方や政府の方針に関して意思表示する機会があるべきだ」との見解を示した。
スコットランドとウェールズでは地方選挙に16歳から参加できるが、英国全体の選挙権年齢を統一する。変更には英議会の承認が必要だが、スターマー氏が24年の選挙公約として示した施策であり、承認への障害は低いとみられる。
英国の16、17歳の人口は計約160万人。ITVの委託で16、17歳の500人を対象とした調査では、33%が労働党、20%がリフォームUK、18%が緑の党、12%が自由民主党、10%が保守党に投票すると回答した。
議会で第2の議員数を占める保守党からは、十分な協議がなされておらず、飲酒や結婚などが認められる年齢との一貫性がなく、混乱を招くと指摘する議員の声も聞かれた。
他国での研究では、投票年齢の引き下げが選挙結果に影響を与えないことが示されている。
世界的には選挙権年齢を18歳以上とする国が多い。その中で、2024年の欧州議会選では、欧州連合(EU)が16歳以上に選挙権を付与することを選択肢として認め、ドイツ、ベルギー、オーストリア、マルタが採用した。