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中国輸出、6月5.8%増に加速 米関税一時停止期限控え前倒し

2025年07月14日(月)16時28分

中国税関総署が14日発表した6月の貿易統計によると、ドル建て輸出は前年比5.8%増加した。資料写真、上海郊外の港で6月撮影(2025年 ロイター/Go Nakamura)

[北京 14日 ロイター] - 中国税関総署が14日発表した6月の貿易統計によると、ドル建て輸出は前年比5.8%増加した。前月から伸びが加速し、市場予想を上回った。米中の関税一時停止が8月に期限を迎えるのを前に企業が出荷を急いだ。

特に東南アジアの中継拠点向けの輸出が好調だった。

5月は4.8%増、ロイターがまとめたエコノミスト予想は5.0%増だった。

6月の輸入は1.1%増とプラスに転じたが市場予想には届かなかった。5月は3.4%減、エコノミスト予想は1.3%増だった。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアアナリスト、チム・リー氏は「(輸出)前倒し需要が徐々に弱まり始める兆候が見られる」とし、「8月の関税一時停止期限を控えた前倒しは続く可能性が高いが、中国から米国への貨物運賃は低下し始めている」と述べた。

また、米中間の輸出規制が大幅に緩和され、貿易条件は4月中旬とほぼ同様の状況に戻ったと指摘した。

6月の対米輸出は前月比32.4%増。米国の関税引き下げの恩恵を受けた。前年比では依然マイナス。

東南アジア諸国連合(ASEAN)への輸出は16.8%増加した。

中国の6月の貿易黒字は1147億ドル。5月の1032億2000万ドルから増加した。

税関データによると、中国のレアアース(希土類)輸出は6月に前月比32%増加し、米中が先月に結んだレアアース貿易を巡る合意が奏功しつつある可能性を示唆した。

しかし、トランプ米大統領が他の貿易相手国への新たな関税率を表明する中、アナリストは中国製品の積み替えが多く行われている第三国に対する米国の圧力によって中国が間接的に打撃を受ける可能性があると警告している。

トランプ氏は最近、ベトナム経由の米国向け積み替え品に40%の関税を課すと発表した。他国を経由して輸出することで高関税を回避しようとしている中国メーカーにとって打撃となる可能性がある。

トランプ氏はまた、中国も加盟している新興国グループ「BRICS」諸国からの輸入品に10%の関税を課すと警告している。

中国は8月12日までに米国と持続的な貿易合意に至る必要がある。

アナリストは追加関税が35%を超えれば、企業の利益が吹き飛ぶと予想している。

キャピタル・エコノミクスの中国エコノミスト、Zichun Huang氏は「関税は高止まりする公算が大きく、値下げで世界シェアの急拡大を狙う中国メーカーは、ますます多くの制約に直面するだろう」と指摘。「このため、今後数四半期にわたって輸出の伸びが鈍化し、経済成長に重しとなると予想している」と述べた。

中国の6月の大豆輸入は、同月としては過去最高を記録。トランプ氏が50%の関税を課したブラジルからの輸入が973万トンに急増した。一方、米国産大豆の輸入はわずか72万4000トンだった。

6月の中国の原油輸入は日量ベースで2023年8月以来の高水準。鉄鉱石輸入は前月比8%増加した。

ロイター
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