中国の銀行、消費者信用拡大で苦戦 不良債権抑制と「板挟み」

中国の銀行が、消費者信用の拡大を図る新たな政府指針の順守に苦戦している。写真は上海の金融街にはためく中国国旗。4月15日、上海で撮影(2025年 ロイター/Go Nakamura)
[北京 11日 ロイター] - 中国の銀行が、消費者信用の拡大を図る新たな政府指針の順守に苦戦している。個人向け融資のデフォルト(債務不履行)が急増し、家計が健全で借り入れを希望している世帯を見つけるのが困難な状況が要因だ。
金融規制当局は米国との「貿易戦争」の影響に対処する取り組みの一環で、3月から銀行に低利融資の拡大を求める指令を数件出し、消費の喚起を図っている。銀行は当初、3%を下回る過去最低の金利で個人向け融資を実施していたが、利ざや縮小を懸念して金利を引き上げた。
複数の融資責任者や銀行幹部がロイターに語ったところによると、個人向け融資の拡大は需要の低迷で厳しくなっている。家計の借金が既に急増し、顧客の所得が先行き不透明になっている状況も原因だという。
ある国有銀行の支店長は匿名を条件に、「銀行は融資目標達成と不良債権抑制の板挟みになっている」と指摘。「債務不履行が増加すれば、支店の融資責任者に罰則が科せられる。責任者の多くが相互に借り入れを行い、融資枠を満たしている」と内情を明かした。