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国連事務総長、UNRWA見直しで選択肢提示 活動禁止で窮地

2025年07月10日(木)12時26分

7月9日、国連のグテレス事務総長は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の今後について4つの選択肢を提案した。写真はガザ南部のUNRWA運営の学校、5月撮影(2025年 ロイター/Hatem Khaled)

Michelle Nichols

[国連 9日 ロイター] - 国連のグテレス事務総長は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の今後について4つの選択肢を提案した。UNRWAは米国による資金供与停止とイスラエルによる活動禁止に見舞われ、困難に直面している。

ロイターが閲覧した選択肢は、(1)行動見送り(2)サービス内容の削減(3)UNRWAに助言する理事会の設置(4)サービスを主催国政府およびパレスチナ自治政府に移管し、パレスチナ難民の権利保護機能を維持――の4つ。

(1)の選択肢についてはUNRWAが崩壊して「人道支援の必要性がさらに高まり、社会不安が高まり、地域の脆弱性が深刻化する」とし、「国際社会がパレスチナ難民を見捨てる」ことを意味すると指摘している。

グテレス氏は4月、広範な国連改革の一環としてUNRWAの戦略的見直しを指示していた。同氏は今月7日付の書簡で国連総会に見直し案を提出し、「UNRWAの使命であるパレスチナ難民の権利保護、そして地域の平和と安全保障のために加盟国が行動を起こすことが重要だと信じている」と訴えた。UNRWAの使命を変更する権限は国連総会にしかない。

イスラエルは1月30日に国内でのUNRWAの活動を禁止した。また、UNRWAのスタッフ約10人が2023年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃に関与していたというイスラエルの指摘を受け、バイデン前米政権は昨年1月にUNRWAへの資金拠出を中止。米議会とトランプ政権はこの措置を延長した。

米国はこれまでUNRWAに対する最大の資金拠出国だった。UNRWAは現在、2億ドルの資金不足に直面している。

ロイター
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