ガザ人道財団の口座開設をUBSが拒否、資金の不透明性などが障害
[ロンドン/ジュネーブ 4日 ロイター] - 米国とイスラエルが支援するガザ人道財団(GHF)がスイスに銀行口座を開設しようとしたが、スイス金融大手UBSに断られていたことが、情報筋2人の話で分かった。米金融大手ゴールドマン・サックスもGHFとの最初の協議後、スイスでGHFのための口座を開設しなかったという。
GHFは5月から、国連などの伝統的なルートを迂回してパレスチナ自治区で人道支援物資を配給している。
情報筋によると、GHFは米国以外からの献金を処理するためにスイス・ジュネーブの事務所用の銀行口座開設を試み、昨年秋からUBSとゴールドマンを含む銀行や弁護士とスイス法人の構造について協議を開始。しかし今年5月にはスイス撤退を決めた。
情報筋2人によると、献金の不足とGHF設立メンバーの辞任が支障となった上、スイスで銀行口座を開設することの難しさがあった。協議では、資金の出所を巡り透明感が欠如していることも障害になったと情報筋の1人は話した。
GHF広報はロイターに電子メールで、スイスから撤退したのは障害があったためではなく、「米国を拠点とするという戦略的な決定」によるものだと説明した。
UBSはコメントを控えた。GHFはコメント要請に答えなかった。
一方、ロイターが5月8日に報じたGHFの書類によると、GHFはゴールドマンからスイス事務所の口座開設について「口頭での約束」を得ていた。ロイターは、ゴールドマンがその後GHFのための口座を開設しなかった理由を確認できていない。ゴールドマンの広報担当者はコメントを控えた。
パレスチナ自治区にあるGHFの物資配給拠点近くでは、銃撃により多くのパレスチナ人が死亡するなどの混乱が起きている。国連やその他の人道支援団体は、GHFの中立性に疑問があるとしてGHFとの協力を拒否している。