マクロスコープ:春闘26年は4%台確保か、円安効果はく落・米関税で構図に変化も

来年2026年の春闘賃上げ率を巡り、現状では4%台半ば以上を確保できるとの見方がエコノミストから出ている。写真は都内の横断歩道。2015年3月、東京で撮影(2025年 ロイター/Yuya Shino)
Kentaro Sugiyama
[東京 3日 ロイター] - 来年2026年の春闘賃上げ率を巡り、現状では4%台半ば以上を確保できるとの見方がエコノミストから出ている。過去2年の5%超から鈍化するものの、非製造業を中心とした内需系企業が下支えする構図だ。けん引役だった輸出企業はトランプ関税など向かい風が強まっているが、過去数年の円安でかさ上げされた利益の蓄積などもあり、一定の賃上げが行われるとの見方もある。
内閣府幹部は「賃上げが一種のノルム(社会規範)として形成されつつある」と説明。そのうえで、日本が内需の足腰を強化して「5%前後の賃上げが当たり前」という経済社会の土台を築けるかどうかが重要だ、と話す。
連合集計の賃上げ率は、2022年の2.07%から、23年に3.58%、24年に5.10%へ上昇。25年は5.25%へと加速し34年ぶりの高水準で着地した。
26年に関して、賃上げのモメンタムを牽引してきた製造業が為替や通商環境の変化を受けて守勢に回る可能性が高まっている。22年から24年にかけては円安を追い風に輸出採算が改善していたが、25年は流れが変わって円高方向に修正されてきた。 さらに、米国のトランプ大統領による関税政策で、輸出・生産の減少や収益の悪化をもたらす可能性が高まっている。特に、自動車分野に対する25%の追加関税が撤廃されなければ、裾野の広い産業だけに影響が大きい。政府関係者からは「これまで自動車一本足打法で来たツケが出てきている」との声も漏れる。 トヨタ自動車は26年3月期の業績見通しで、4、5月分だけで営業利益が約1800億円下押しされると試算。日産自動車は通年で最大4500億円の影響を見込む。
それでも、一定程度の賃上げが行われるとの見方がある。
大和証券の末広徹チーフエコノミストは「賃上げを見送るのは悪目立ちするため、大企業では横並びが続きやすい。新卒採用の訴求力の観点からも初任給やベースアップは維持される」と指摘。相対的に比較されにくいボーナスを調整弁としつつ、26年春闘の賃上げ率は「4%台半ばから後半で着地するのではないか」と話す。
<原油価格下落が追い風>
非製造業には賃上げを後押しする材料がある。第1に人手不足だ。1日に発表された日銀短観の雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)では、製造業の「不足超」がマイナス22だったのに対し、非製造業がマイナス44と、非製造業の人手不足感がより強いことが示唆されている。
小売やサービス、物流、情報通信などの業種を中心に労働需給のひっ迫が続いており、企業は賃上げを通じた人材確保を迫られている。
第2に、原油価格の下落によるコスト構造の改善がある。みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介チーフ日本経済エコノミストは、トランプ関税や世界経済の減速懸念などから原油価格が下落傾向にあると指摘。これが企業のエネルギーコストや原材料コストを低下させ、内需型の非製造業を中心に収益を下支えすると分析する。
みずほリサーチの酒井氏は、交易条件の改善や原油価格の低下がプラスに寄与し、製造業がトランプ関税の影響を受ける中でも全体の賃上げ率は高水準での着地が見込めると指摘。26年春闘の仕上がりは「4.7%程度に行くのではないか」と予想する。
<構造転換の試金石>
企業を取り巻く環境が大きな転換期を迎える中、前出の内閣府幹部は「今後はGDPの8割を占める非製造業で賃金と物価の好循環を維持できるかどうかが、持続的成長のカギとなる」と指摘。医療・介護など公的サービス分野における政府の処遇改善策も賃上げ全体を支える重要な要素になると話す。
別の政府関係者は、「2%の物価安定目標が実現した世界では、5%前後の賃上げ率維持が重要だ」と強調。26年春闘は為替や関税といった外的環境に左右される経済から内需主導型の経済構造に転換できるかどうかの試金石になると指摘する。
(杉山健太郎:取材協力 山崎牧子 編集:橋本浩)
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