焦点:ウクライナ、対ロシア戦の一環でアフリカ諸国に接近 食糧支援が軸

6月25日、アフリカ西端の国モーリタニアが、ロシアと対峙するウクライナの戦略における思いがけない拠点となっている。写真はヌアクショットでWFPの食料を袋に詰める作業員ら。2024年11月撮影(2025年 ロイター/WFP/Nardjesse Rahmoune)
Jessica Donati Olena Harmash
[ヌアクショット 25日 ロイター] - アフリカ西端の国モーリタニアが、ロシアと対峙するウクライナの戦略における思いがけない拠点となっている。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、ウクライナはアフリカで8つの新たな大使館を開設。そのうちの1つであるモーリタニアの首都ヌアクショットの大使館は、関係者らによると、隣国マリからの難民に対する食糧援助を監督している。
ウクライナのアフリカ担当特使マクシム・スブフ氏はロイターに対し、マリとの緊張が高まる中、ウクライナがモーリタニア軍への訓練支援を申し出ていることを明らかにした。マリではロシアが政府軍を支援し、トゥアレグ族の反政府勢力と戦っている。
ロシアは、西・中央アフリカの複数国に兵士や民間軍事会社の傭兵を派遣し、大統領の警護に当たらせている。また、ロシアの鉱山会社もマリを含むサヘル地域に広く展開している。
スブフ氏はキーウでのインタビューで、ロシアの軍事的関与はサヘル地域の「安定を損なっている」と述べた上で、「ウクライナはモーリタニア軍の訓練を継続する用意がある。実戦で得た技術や知見を共有する用意がある」と語った。ロシアの侵攻前にも訓練提供の実績があるという。
モーリタニア政府および在モーリタニア・ロシア大使館は、ロイターの問い合わせに回答していない。
ロシア政府は6月初旬、防衛を含む分野でアフリカ諸国との協力を強化する方針を示した。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、ロシアはアフリカ最大の武器供給国だ。
今回の取材では、ウクライナ政府高官4人、人道支援関係者2人、外交官や専門家などから話を聞いたほか、モーリタニアとコンゴ民主共和国での新大使館の取材を通じて、ロシアの影響力に対抗するウクライナのアフリカ戦略の実態が明らかになった。
ウクライナ侵攻初期、多くのアフリカ諸国は、ロシアによるウクライナ港湾の爆撃で食糧・肥料の輸出が滞りアフリカで価格高騰が起きた後も、国連でウクライナ側につくことを拒否した。
その数カ月後、ウクライナは初のアフリカ戦略を策定した。冷戦期のロシアの支援や対アパルトヘイト姿勢を忘れていないアフリカ諸国に対し、貿易・投資の拡大を図り、ロシアに対抗することを目標に掲げた。
スブフ氏の主導で、ウクライナは22年に発表した10カ国のうち8カ国で大使館をすでに開設し、アフリカでの総数は18カ国となった。開設国には、侵攻初期にロシアを非難したコートジボワールやコンゴ民主共和国が含まれる。今年中には、内戦が続き、米国がロシアによる両サイドへの武器供給を非難するスーダンにも大使館を開設予定だ。
しかし、長年にわたり情報機関や経済活動を展開してきたロシアの影響力に、ウクライナは規模で劣る。ロシアはアフリカに約40の外交施設を構え、さらに7カ所の新設も予定している。
<「自由のための戦い」との共鳴訴え>
スブフ氏は、旧ソ連時代の「宗主国」であるロシアに対するウクライナの戦いは、アフリカ諸国が欧州植民地主義の遺産を克服しようとする努力と共通点があると説得したいと考えていると述べた。
軍事訓練の提供を提案はしているものの、ウクライナのアフリカ政策の主軸は食糧支援だ。
ウクライナ政府は、「ウクライナからの穀物」と名付けられたEU・米国資金によるウクライナ支援枠組みにより、世界食糧計画(WFP)を通じて約30万トンの穀物を提供。これはロシアの食糧支援計画と競合するかたちで、12カ国で計800万人が支援を受けたと欧州政策センターが4月に報告している。支援対象国には、コンゴ民主共和国、エチオピア、ソマリア、ナイジェリア、ケニア、スーダンなどが含まれる。
モーリタニアでは、ロシア支援のマリ軍から逃れるマリ人の難民約25万人が暮らす、西アフリカ最大の難民キャンプ「ムベラ」向けの支援が中心となっている。
また黒海の港の再開により、24年のウクライナからアフリカへの穀物輸出量は1000万トン近くに達し、前年のほぼ2倍となった。
ウクライナ政府は、自国がロシアに代わる食糧供給国として存在感を高めることで、中立を保ってきたアフリカ諸国がロシアに対する戦争終結の圧力となることを期待している。
ウクライナの存在感も高まっている。
4月にはゼレンスキー大統領が、ウクライナ大統領として初めて南アフリカを訪問した。同国はロシアの親密な同盟国だが、ウクライナの苦境への理解やエネルギー・肥料生産・安全保障分野での協力強化を呼びかけた。
南アの外務省報道官は、ウクライナとロシアの双方が友好国だと述べ、同国は、ロシアに連れ去られたとウクライナが主張する子どもたちの帰国など、人道的課題の仲介を通じた和平を目指す姿勢を示した。
しかし、南アのアナリスト、ティム・ムリティ氏は、エチオピアのようなアフリカ連合(AU)本部所在国に大使を指名していないなど、ウクライナのアフリカ戦略は一貫性を欠くと指摘した。
商業面でも、ウクライナの輸出は依然として北アフリカ偏重で、サハラ以南の国々ではエチオピア、ケニア、ナイジェリアなどへの輸出は戦争前を大きく下回っている。モーリタニアのウクライナ産食品輸入も、21年比で大幅に減少した。
<人手不足と草の根外交>
ウクライナの新設公館は人員が限られており、ボランティアや寄付者からの支援に頼っている。
2人の外交筋によると、モーリタニアの大使館の立ち上げを1人で担ったビクトル・ボルト氏(29)は当初、警護なしで移動し、友好的な他国の外交官の支援を受けていたが、その精力的な活動により現地で注目を集めるようになった。
その後着任したセレダ臨時代理大使は、ウクライナの支援活動が現地での評価を高め、モーリタニアにおけるウクライナへの理解が進んだことで、今後は貿易面の進展も期待できると語った。モーリタニア政府はこの件へのコメントを控えている。
一方、支援対象にはコンゴ民主共和国も含まれており、ウクライナのハミアニン大使は、両国が長期的な農業・食料安全保障の協定を協議中であると述べた。
コンゴ民主共和国の大統領府は、「われわれがウクライナ大使館を受け入れたのは、開かれた協力の精神によるものであり、ロシア・ウクライナ間の紛争と直接結び付けるべきではない」との声明を出している。
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