フォルドゥ核施設に深刻な被害か、衛星画像 確認は困難とも

米国が実施したイラン核施設への攻撃について、専門家は6月22日、商業衛星画像からフォルドゥの地下核施設と遠心分離機が深刻な被害を受け、破壊された可能性もあるとの見方を示す一方、確認はできていないと述べた。写真は米国の攻撃を受けたフォルドウ地下核施設の上部をとらえた衛星画像。6月22日撮影。MAXAR TECHNOLOGIES提供(2025年 ロイター)
[ワシントン 22日 ロイター] - 米国が実施したイラン核施設への攻撃について、専門家は22日、商業衛星画像からフォルドゥの地下核施設と遠心分離機が深刻な被害を受け、破壊された可能性もあるとの見方を示す一方、確認はできていないと述べた。
元国連核査察官のデービッド・オルブライト科学国際安全保障研究所所長は「大型貫通爆弾(MOP)で突き抜けた」とし、「施設はおそらく破壊されただろう」と述べた。
しかし、CNAコーポレーションの衛星画像専門準研究員デッカー・エベレス氏は、地下の破壊については確認できていないと指摘。数百台の遠心分離機が設置された空間は「あまりに深い場所にあるため、衛星画像を基に被害の程度を評価することはできない」と述べた。
イランは今回のような攻撃から身を守るため、核施設の多くをフォルドウの山岳地帯を含む地下深くに埋設している。
衛星画像には地中貫通弾(バンカーバスター)が山を貫通したと思われる6つの穴が写っている。
米国とイスラエルはイランの核開発を阻止する意向を表明しているが、施設を完全に破壊できなければ、イランは比較的容易に核兵器開発を再開できる可能性がある。
<「異常な活動」>
複数の専門家はまた、イランが兵器級に近い高濃縮ウランの備蓄を22日未明の攻撃前にフォルドゥから移動させ、イスラエルや米国、国連核査察官らが知らない場所に隠している可能性があると警告した。
専門家らはマクサー・テクノロジーズの衛星画像で19日と20日にフォルドゥで「異常な活動」が見られ、施設の入口付近に長い車列ができていたと指摘する。イラン高官筋は22日、濃縮度60%のウランの大部分が米国の攻撃前に非公開の場所に移送されたとロイターに明かした。
ミドルベリー国際大学院のジェフリー・ルイス氏は「イランの核開発計画を数年遅らせるくらいしか、確信を持って何かをできるとは思えない」とし、「われわれが知らない施設が存在するのはほぼ確実だ」と語った。