ニュース速報
ワールド

トランプ米政権、発電所からのCO2や水銀の排出抑制規則の廃止提案

2025年06月12日(木)09時05分

 トランプ米政権の環境保護局(EPA)は、バイデン前政権が導入した発電所からの二酸化炭素(CO2)や水銀など大気汚染物質の排出を規制する規則の廃止を提案した。写真は、EPAのゼルディン長官。2月18日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/ Kent Nishimura)

[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米政権の環境保護局(EPA)は、バイデン前政権が導入した発電所からの二酸化炭素(CO2)や水銀など大気汚染物質の排出を規制する規則の廃止を提案した。EPAのゼルディン長官が11日、発表した。環境規制を産業やエネルギー生産の拡大にとって不必要な「障壁」だとみなし、それらを撤廃するとしたトランプ大統領の取り組みの一環となる。

廃止を目指している規則の1つは、2047年までに発電所からの温室効果ガス排出量を10億トン削減することを目標としている。電力部門は米国の温室効果ガス排出量のうち4分の1弱を占め、この規則はバイデン前政権の気候変動対策の極めて重要な部分とされていた。

ゼルディン氏は、規則の廃止に向けた動きについて「EPAは重要な一歩を踏み出し、正気と健全な政策を取り戻し、環境保護と経済成長の両立が可能であることを示している」と訴えた。電力会社や鉱山企業が称賛した一方、環境保護団体は環境と公衆衛生を一段と損なうことになると非難した。

ゼルディン氏は3月、30を超える大気・水質規制を撤廃する意向も表明している。EPAが4月に公表したリストによると、47社の石炭火力発電所から出る水銀と大気有害物質の排出規制の適用を2年間免除した。

これはデータセンターの建設が急増して電力需要が急上昇している中で、発電所の閉鎖を防ぐための措置だとしている。ゼルディン氏は、米国のデータセンターの電気消費量は10年以内に電気供給量の10%となり、現在の3―4%から上昇する。

民間電力事業者の業界団体、エジソン電気協会(EEI)の法律政策担当ディレクター、アレックス・ボンド氏は「電力会社にとって規制の柔軟性と確実性は、信頼できる電気に対する国民の需要拡大を満たすと同時に、顧客が支払う料金を可能な限り低く抑えるために不可欠だ」とコメントした。

これに対し、米国肺協会(ALA)のハロルド・ウィマー会長は、発電所からの水銀排出規制を撤回することは「公衆衛生の観点から弁解の余地がなく、EPAの使命に対する裏切りだ」と非難した。

環境団体クリーンエア・タスクフォースの法務ディレクター、ショーン・ゴーホー氏は「これらの時代に逆行する提案は、公衆衛生と気候問題の双方にとって有害」とした上で、「バイデン前政権下で策定された発電所の基準を撤廃することは、気候変動対策としての2400億ドル相当の恩恵と、公衆衛生での1200億ドル相当の節約を帳消しにする」と批判した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米労働関連指標を見極め

ビジネス

米11月求人件数、14カ月ぶり低水準 労働需要の減

ビジネス

米国株式市場=S&P500反落、金融株に売り AI

ワールド

トランプ氏の一般教書演説、2月24日の見通し 下院
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 5
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 6
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 7
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 8
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中