英財務相、歳出見直しで経済活性化に2兆ポンド超を支出へ

6月11日、リーブス英財務相(労働党)は、経済活性化に向けて総額2兆ポンド超を支出する2026―29年の歳出見直しを発表した。ロンドンで撮影、提供写真(2025年 ロイター/House of Commons)
[ロンドン 10日 ロイター] - リーブス英財務相(労働党)は11日、経済活性化に向けて総額2兆ポンド超を支出する2026―29年の歳出見直しを発表した。医療や防衛のほかに、住宅、交通、環境に配慮したエネルギーのインフラ支出を優先させる。
リーブス氏は議会での演説で「今回の歳出見直しの優先事項は、労働者にとっての優先事項となる。それは英国の安全保障、健康に投資して経済を成長させることで、労働者がより良い生活を送れるようにする」と訴えた。
リーブス氏は、政府予算支出額が23会計年度(23年4月―24年3月末)以降に実質で年率2.3%増えることになり、スナク前政権(保守党)が立てていた計画に比べて日常的な公共サービスの支出が1900億ポンド(約2570億ドル)上振れすると明らかにした。今回の歳出見直し期間である25会計年度以降で見ると、実質で年率1.5%増に鈍化する。
23会計年度を基準とした場合、国防は実質で年率3.6%増え、日常的な政府支出の4割近くを占める保健サービスも年率2.8%伸びる。
警察の財源が年率2.3%増えるなど大部分の分野は実質的な増額が見込まれる一方、既に決まっている対外援助予算の抑制方針を受けて外務省は年率5%減る。また、警察を除く内務省の機能は年率4.5%減らす。
また、全ての政府部門は行政コストの最低15%削減を含め、少なくとも5%削減を求められる。
英財政研究所(IFS)のポール・ジョンソン所長は「医療と国防の予算増は相当なものだ。その一方で、他の予算は手薄になる」と指摘した。
11日に発表したインフラ支出では、10年間かけて実施する低価格住宅の建設に390億ポンドを投じ、これは年間ベースの既存支出の2倍弱に相当する。研究開発費には860億ポンド、新しい原子力発電所に140億ポンド、地域公共交通に160億ポンド超をそれぞれ支出する。