国連のガザ向け小麦支援、最低限しか届けられず大半が略奪被害に

6月9日、国連は、パレスチナ自治区ガザに向けた小麦支援について、イスラエルが搬入を認めた3週間前から最低限しか届けることができていない上に、その大半は空腹に苦しむ市民や武装ギャングに略奪されていると明らかにした。写真は、イスラエル・ガザ国境近くの検問所を通過する援助物資のトラック。5月21日、ケレムシャロームで撮影 (2025年 ロイター/Amir Cohen)
[国連 9日 ロイター] - 国連は9日、パレスチナ自治区ガザに向けた小麦支援について、イスラエルが搬入を認めた3週間前から最低限しか届けることができていない上に、その大半は空腹に苦しむ市民や武装ギャングに略奪されていると明らかにした。
イスラエルが国連に対して支援物資通過を許可しているのは「ケレム・シャローム検問所」の1カ所のみ。国連副報道官のファハン・ハク氏によると、同検問所を通じて国連はこれまでに4600トンの小麦をガザに移送している。
ただハク氏は、援助団体の試算ではガザの各世帯に1袋の小麦を提供し、市場の需給逼迫や人々の絶望感を緩和するには8000─1万トンが必要になると訴えた。
同氏は「(国連が持ち込んだ小麦の)大部分は、目的地に到着する前に腹を空かせた人たちが取得した。一部では武装ギャングに奪われた」と述べた。
その上で同氏はイスラエルに対して、複数の検問所や物資搬入ルートを開放し、より多くの支援が行えるようにしてほしいと要請した。
イスラエルと米国は、国連が「ガザ人道財団」と協力することを望んでいるが、国連側はこの組織の中立性に疑念を持ち、拒否している。