中期的な物価安定が重要とスイス中銀理事、CPI下落受け

6月3日、スイス国立銀行(中央銀行)のチュディン理事は、同国のインフレ率が4年超ぶりにマイナスとなったことを受け、中銀は向こう1カ月ではなく中期的な物価安定を目指していると述べた。写真はスイス中銀の外観。ベルンで1月撮影(2025年 ロイター/Denis Balibouse)
[ベルン 3日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)のチュディン理事は3日、同国のインフレ率が4年超ぶりにマイナスとなったことを受け、中銀は向こう1カ月ではなく中期的な物価安定を目指していると述べた。ベルンで開かれたイベントで講演した。
スイス連邦統計局が同日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.1%下落し、中銀のインフレ目標レンジ(0─2%)を外れた。
チュディン氏はこれについて、一つのデータに過ぎないとし、「われわれが関心を持っているのは中期だ」と述べた。
次回の中銀会合での利下げは市場で確実視されているが、政策金利が現在の0.25%から0%に引き下げられる確率は69%、マイナス0.25%まで引き下げられる確率は31%と見方が分かれている。
チュディン氏は、状況は日々変化していると述べ、市場は金利低下を予想しているものの、専門家は現時点でマイナス金利を予想していないと指摘した。
トランプ米政権の関税に伴う貿易の不確実性にも言及し、スイス経済の見通しはさらに不透明になっているとした。
「貿易政策の動向に関連する不透明感は現在、非常に高い」とし、「スイス中銀は状況と動向を非常に注意深く見守っている」と述べた。