米為替報告、「操作国」認定なし 中国を厳しく警告

米財務省は5日、半期ごとの外国為替政策報告書を公表した。2023年1月、財務省ビルで撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
米財務省は5日、半期ごとの外国為替政策報告書を公表した。「為替操作国」に認定した貿易相手国・地域はなかったが、為替操作をしていないか注視する「監視リスト」にアイルランドとスイスを加えたほか、中国に対し厳しい警告を発した。
今回の報告書は第2次トランプ政権発足後で初めて。財務省は、中国を為替操作国に認定しなかったものの、中国は「主要貿易相手国の中でも為替政策やその慣行に関する透明性の欠如が際立っている」と指摘。「中国が将来的な人民元相場の上昇に抵抗するために公式または非公式の手段を通して介入しているとの証拠が得られた場合、こうした透明性の欠如は、中国を(為替操作国として)認定することを妨げるものではない」とした。
今回の報告書で「監視リスト」に掲載された国・地域は、中国、日本、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスの9カ国・地域。
「監視リスト」掲載を巡って財務省は、対米貿易黒字が150億ドル以上、国際収支黒字が対国内総生産(GDP)比3%以上、持続的で一方的な外貨純購入、の3点の基準を設けており、このうち2つを満たすと自動的にリストに追加される。アイルランドとスイスは、対米貿易・経常黒字が大きかったため、リストに追加された。
今回の報告書は、バイデン前政権の最終年が対象。バイデン氏は4年の任期中、いかなる貿易相手国・地域も為替操作国に認定しなかったものの、中国の行動や透明性の欠如について同様の懸念を表明していた。