カナダ山火事の噴煙が米中西部に広がる、大気汚染による健康被害懸念

6月3日、カナダの3つの州に被害をもたらしている大規模な山火事の噴煙が米中西部にまで広がり、2年前のような深刻な大気汚染をもたらすのではないかとの懸念が出ている。カナダ山火事の煙が到達した米ミネソタ州ダルースで撮影(2025年 ロイター/Erica Dischino)
[デュルース(米ミネソタ州) 3日 ロイター] - カナダの3つの州に被害をもたらしている大規模な山火事の噴煙が米中西部にまで広がり、2年前のような深刻な大気汚染をもたらすのではないかとの懸念が出ている。
煙に含まれる微小粒子状物質は既にミネソタ州やその周辺に流れ込み、数千万人の地域住民に健康被害リスクが生じつつある。数日中には微小粒子状物質がニューヨークをはじめとする東海岸の都市にも達する見通しだ。
コネティカット大学医学部の公衆衛生研究者、ダグ・ブルッジ氏は「微小粒子状物質の大気(汚染)問題はわれわれが知る限り最も重大な環境関連の健康リスクだ。心臓血管や呼吸器系、神経系に害を与え、これらの噴煙は通常の米国内におけるレベルと比べて非常に高い」と指摘した。
今回の山火事は5月初め以来、カナダ国内に幅広く拡大。当局によると、2日時点では200カ所余りで火災が続き、うち106カ所が制御不能な状態にある。これまでアルバータ、サスカチュワン、マニトバ3州を中心とする焼失面積は190万ヘクタールに上る。
IQエアが算出する大気質指数(AQI)を見ると、3日午後にマニトバ州との境界に近いミネソタ州イーライで336と「危険」とされる水準を記録した。
AQIは50未満が「清浄」、100─300が「不健康から非常に不健康」、それ以上は「危険」と分類されている。
ミネソタ州の他の複数の地域でも3日に一時300台に達した。
ニューヨークは4日午前にAQIが77へ上昇する見通し。フィラデルフィアと首都ワシントンも70に、ボストンは68にそれぞれ上がると予想されている。