メキシコへの送金額、4月は12年7カ月ぶりの大幅減=中銀

6月2日、メキシコ中央銀行が発表した4月のメキシコへの送金額は前年同月比12.1%減の47億6000万ドルとなり、減少率は2012年9月以来12年7カ月ぶりの大きさとなった。写真は米ドル紙幣。2023年7月、メキシコ・シウダーフアレスで撮影(2025年 ロイター/Jose Luis Gonzalez)
[メキシコ市 2日 ロイター] - メキシコ中央銀行が2日発表した4月のメキシコへの送金額は前年同月比12.1%減の47億6000万ドルとなり、減少率は2012年9月以来12年7カ月ぶりの大きさとなった。
送金額が世界で2番目に多いメキシコは、主に隣国の米国で働く移民から送金を受けている。アナリストらによると、今年1月にトランプ米大統領が返り咲いて以来、米国で移民の取り締まりを強化していることが送金額減少の要因とみられる。
バンコ・ベースの経済分析ディレクター、ガブリエラ・シラー氏は短文投稿サイトXへの投稿で「4月の送金額のデータはひどいものだ」とした上で、理由について「米国の労働市場の悪化と、米国にいる移民が失業や送金によって国外追放されることを恐れているためだ」と指摘した。
BBVAリサーチの24年の推計によると、外国にいるメキシコ人は約1230万人おり、うち97%が米国に住んでいる。
中銀によると、今年4月の送金件数は前年同月比8.1%減の1240万件。平均送金額は4.4%減の385ドルだった。1―4月の累計送金額は190億2000万ドルと、前年同期より2.5%減った。
米議会上院は、送金に対する3.5%の課税を盛り込んだ法案を審議している。バノルテのアナリストらは顧客向けのノートで、この法案が可決した場合には「施行前に送金が増加すると予想され、その後の影響は依然として非常に不透明だ」との見方を示した。
メキシコ政府の当局者は、移民の所得には現地の税金が既に課せられているため、送金への課税は、二重課税を避けるための両国間の条約に違反する恐れがあると主張してきた。
外国に住むメキシコ人による24年の送金額は647億5000万ドルと過去最高になり、大部分は米南部テキサス州と西部カリフォルニア州からメキシコの中部と西部の州への送金だった。