ハッカー、「テレメッセージ」の広範なデータ傍受か ウォルツ氏使用で注目

メッセージングプラットフォーム「テレメッセージ」に侵入したハッカーが米政府高官らのメッセージを幅広く傍受した可能性があることが、ロイターの調査で分かった。写真は4月、閣議中に携帯電話を確認するマイケル・ウォルツ氏(2025年 ロイター/Evelyn Hockstein)
[ワシントン 21日 ロイター] - メッセージングプラットフォーム「テレメッセージ」に侵入したハッカーが米政府高官らのメッセージを幅広く傍受した可能性があることが、ロイターの調査で分かった。この通信サービスは、米大統領補佐官(国家安全保障担当)を解任されたマイケル・ウォルツ氏が使用していたことで注目を集めた。トランプ政権のデータセキュリティーを巡る危険性への懸念が一段と高まる可能性がある。
4月30日にロイターが撮影した写真で、ウォルツ氏が閣議中にテレメッセージを確認していたことが判明。ウォルツ氏はこれに先立ち、通信アプリ「シグナル」のチャット機能を使って閣僚らと軍事機密情報に当たるイエメン空爆について議論した際、誤って著名なジャーナリストを追加したことで、世論の激しい反発を招いていた。
ロイターは、ハッキングされた文書などを公益目的で保存する民間非営利団体(NPO)が提供した流出データのうち、5月4日にかけてのほぼ1日分の内容を確認した。その結果、テレメッセージの利用者として60人以上の政府関係者を特定した。災害対応要員や税関職員、外交スタッフ、少なくとも1人のホワイトハウス職員、シークレットサービスのデータが含まれていた。ただ、その多くは断片的な内容だった。
明らかに機密性の高い内容は見つかっておらず、ウォルツ氏や他の閣僚のやりとりも確認されていない。ただ、バチカンでの行事やヨルダン訪問など、政府高官の外遊に絡むものと推測される内容が含まれていた。流出したテキストの受信者の1人である連邦緊急事態管理庁(FEMA)の支援申請者や金融企業はメッセージが本物であることを認めた。
テレメッセージは政府の規則に沿うようアプリのメッセージを残す機能があるが、今月5日にサービスが一時停止された。テレメッセージを運営する米スマーシュはコメント要請に応じなかった。ホワイトハウスは「スマーシュのサイバーセキュリティー事案を承知している」と表明したが、テレメッセージの使用に関してコメントしなかった。米税関・国境取締局(CBP)報道官はテレメッセージを無効化し、データ流出の調査を進めているとする以前の回答を繰り返した。