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米ロ首脳が電話会談、トランプ氏「停戦に向けた交渉を直ちに開始」

2025年05月20日(火)09時30分

トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が米東部時間19日午前、電話会談を開始した。2018年7月、フィンランド・ヘルシンキで撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

By Steve Holland, Guy Faulconbridge, Olena Harmash

[ワシントン/モスクワ/キーウ 19日 ロイター] - トランプ米大統領は19日、ロシアのプーチン大統領との電話会談を受け、ロシアとウクライナが停戦に向けた交渉を直ちに開始すると表明した。

電話会談後、ウクライナのゼレンスキー大統領のほか、欧州連合(EU)、フランス、イタリア、ドイツ、フィンランドの各首脳を交えて電話で話したとソーシャルメディアに投稿。「ロシアとウクライナは停戦、そしてより重要なこととして戦争の終結に向けた交渉を直ちに開始する」と述べた。その後ホワイトハウスで、「一定の進展が見られる」との認識も示した。

一方、欧州の指導者らはトランプ氏からの説明を受け、制裁を通じてロシアへの圧力を強めることを決めたと、メルツ独首相が19日遅くにXに投稿した。

ただ、これまで制裁をちらつかせていたトランプ氏は欧州の動きに追随するつもりは今のところないようだ。新たな制裁を科さない理由を記者団から尋ねられると、「何かを達成するチャンスがあると思っているためだ。制裁すれば事態がもっと悪くなる可能性もある。しかし、制裁する時が来るかもしれない」と答えた。

トランプ氏は「何らかの大きなエゴが絡んでいる」と指摘。進展がなければ「私は手を引くだけだ」と述べ、仲介をやめる可能性もあるとする警告を繰り返した。「これは私の戦争ではない」。

<プーチン氏「ウクライナ側と協力する用意」>

プーチン氏はロシアの黒海沿岸のリゾート地ソチから電話会談を行い、トランプ氏はワシントンに滞在していた。

プーチン氏はソチ近郊で記者団に対し「ロシアは将来の和平協定の可能性に関する覚書を提案し、ウクライナ側と協力する用意があることで米大統領と合意した。その覚書では、例えば和解の原則や和平協定の時期など、いくつかの立場を規定する」と述べた。

さらにこの作業の一環として、両国は停戦の可能性とその期限を確定する必要があるとも述べた。

ウクライナと欧州の同盟国、米国は、プーチン大統領に対し、少なくとも30日間の即時かつ無条件の停戦を受け入れるよう強く求めてきた。

プーチン氏はまた、ロシアとウクライナの間で直接協議が行われたことは「われわれが概ね正しい方向に進んでいると信じる根拠を与えている」とした。

その上で「ロシアにとって最も重要なのは、この危機の根本原因を排除することだ。平和に向けて最も効果的な方法を見極める必要がある」と語った。

タス通信によると、プーチン氏は、ロシアとウクライナは双方にとって納得のいく妥協点を見つけなければならないとも述べたという。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ウクライナとの間の覚書作成について期限はないと説明。「誰もができるだけ早期にそれをしたいと考えているのは明らかだが、もちろん、悪魔は細部に宿る」と語った。

ロイター
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