ニュース速報
ワールド

政治・経済の安定化進む南ア、投資適格級獲得は当面困難か

2024年11月15日(金)12時54分

 南アフリカは5月の総選挙を経て本格的な連立政権が発足し、停電の発生が止まるなど、政治・経済情勢が落ち着きを取り戻しつつある。写真はケープタウンで演説するラマポーザ大統領。昨年2月撮影(2024年 ロイター/Shelley Christians)

Tannur Anders

[ヨハネスブルグ 14日 ロイター] - 南アフリカは5月の総選挙を経て本格的な連立政権が発足し、停電の発生が止まるなど、政治・経済情勢が落ち着きを取り戻しつつある。しかし経済成長はなお他の新興市場国に比べて鈍く、債務の対国内総生産(GDP)比も上昇していることから、信用格付けは当面、投資適格級をかなり下回る水準が続く見通しだ。

南アは何年にもわたり停電が頻発する状態が続いていた。しかし今年に入って連立政権が発足して経済改革を約束し、企業の景況感が改善。停電も「8カ月連続発生なし」を記録した。

ただ財政リスクは解消されておらず、新政府が成長を加速できるかどうか見極めるにはまだ時間がかかりそうだ。

政府が見込む今年の成長率予測はわずか1.1%と、他の多くの新興市場国を下回っている。また債務のGDP比は2009年の23.6%から今年は74.1%に上昇する見通し。政府は先月、26年に75.5%で上昇に歯止めを掛けるとの目標を打ち出した。

S&Pグローバル、ムーディーズ、フィッチの格付け大手3社は現在、南アの長期外貨建て格付けが投資適格級を2段階から3段階下回っている。格付け見通しはいずれも「安定的」。

バンク・オブ・アメリカ証券のサハラ以南エコノミスト、タトンガ・ルシケ氏は南アの信用格付けについて、「投資適格級への議論はまだかなり先のことで、今のところ到達への道のりはまだ遠い」と見る。南アの金融大手Absaのミエラニ・マルレケ氏も「財政の見通しには依然として大きなリスクがある」と指摘。「格付け会社は南ア経済が実際に上向いているという証拠を目にしたがっている」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ巡る米ロ協議、「画期的ではない」=ロシア

ビジネス

アルファベット、クリーンエネ企業買収 AI推進で電

ワールド

EXCLUSIVE-中国、100基超のICBM配備

ワールド

和平交渉は「 真の結果に近づいている」=ゼレンスキ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中