ニュース速報
ワールド

イスラエル、レバノン国連部隊に砲撃・退避勧告 隊員2人負傷

2024年10月11日(金)05時07分

国連レバノン暫定軍(UNIFIL)のレバノン南部の拠点3カ所が10日、イスラエル軍による発砲を受けた。写真はレバノン南部で2023年10月撮影(2024年 ロイター/Thaier Al-Sudani)

[ベイルート/エルサレム/ローマ/国連 10日 ロイター] - 国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は10日、南部ナクラにある本部の監視塔がイスラエル軍の戦車による砲撃を受け、隊員2人が負傷したと発表した。UNIFILの別の2拠点も攻撃を受けたが、そちらでは死傷者はなかった。

UNIFILは「平和維持部隊に対するいかなる意図的な攻撃も国際人道法の重大な違反だ」と批判する声明を出した。

イスラエル軍は声明で、自国の部隊が「UNIFIL基地に隣接した」ナクラ地域で作戦活動を行ったと述べた。イスラエル軍は国連軍に対し保護された場所に留まるよう指示した上で発砲したという。また、UNIFILとの定期的な連絡を維持しているとも述べた。

米ホワイトハウスは攻撃の報道を受け、深く懸念しておりイスラエルに詳細な説明を求めていると述べた。

イタリアのクロゼット国防相は、国連平和維持部隊の拠点に向けた攻撃は戦争犯罪の可能性があるとして非難。イスラエル大使を呼んで説明を求める考えを明らかにした。

国連平和維持活動部長のジャンピエール・ラクロワ氏は「レバノンにおける国連軍の安全と治安がますます危険にさらされている」と懸念を表明。UNIFILは基地内に閉じ込められ長時間シェルターに避難しており、活動は9月23日以降、事実上停止状態にあると明らかにした。

これに先立ち、イスラエルのダノン国連大使は10日、レバノン南部に駐留する国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に対し、5キロメートル北方への退避を勧告すると述べた。イスラエルとイラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラとの戦闘が激化する中、危険回避を要請するとした。

ダノン氏はイスラエルがレバノンに留まるつもりはないとした上で「ヒズボラをレバノン北部の国境から追放し、北部の住民7万人が帰還するために必要なことを行う」と表明した。

UNIFILは6日、レバノン南西部の拠点付近でのイスラエル軍の「活動」に懸念を示し、「国連安全保障理事会から任務を与えられている国連平和維持軍の安全を危険にさらすことは容認できない」と表明していた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米失業保険継続受給件数、10月18日週に8月以来の

ワールド

米FRB議長人選、候補に「驚くべき名前も」=トラン

ワールド

サウジ、米に6000億ドル投資へ 米はF35戦闘機

ビジネス

再送米経済「対応困難な均衡状態」、今後の指標に方向
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中