インタビュー:新米大統領にも辺野古の中断要請、「完成の見込みない」=玉城・沖縄県知事
9月12日、訪米中の玉城デニー沖縄県知事(写真)はロイターのインタビューで、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について、11月の米大統領選で民主党のハリス副大統領、共和党のトランプ前大統領どちらが勝利しても関連工事の即時中断を訴える意向を示した。写真は2019年3月、都内で代表撮影(2024年 ロイター)
Yukiko Toyoda Tim Kelly
[東京 12日 ロイター] - 訪米中の玉城デニー沖縄県知事はロイターのインタビューで、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について、11月の米大統領選で民主党のハリス副大統領、共和党のトランプ前大統領どちらが勝利しても関連工事の即時中断を訴える意向を示した。費用膨張や技術的困難を抱え、「完全な形で完成する見込みはない」とした。
移設先完成まで普天間を継続使用するとの米軍の見解が伝えられたことに関しては「米軍に対して県民の怒りは収まらない。それで安定的な日米同盟が維持されると考える方が大きな間違いだ」と述べ、危険性除去のため日米と沖縄の三者による対話も求めるとした。
玉城氏は、台湾海峡などに近接した沖縄が「米国の対東アジア戦略の影響を最も受ける」としてハリス、トランプ両氏の対中政策に注目していると発言。訪米を通じて超党派で対中強硬論が高まっていることを痛感したと語り、「対中戦略に関してはもっと理性的に考えなければリスクが非常に高まる」と懸念を示した。
米新政権の発足で沖縄の基地負担に変化が生じる可能性については、「推移を見守る必要がある」と指摘。2017年のトランプ大統領就任時には「大胆な基地政策の転換」が期待されたが、当時の安晋三倍政権との関係が緊密化する中で「(日本が米国から)莫大な兵器を買い取る方向」に終始したとの見解を示した。
米軍基地だけでなく「自衛隊の急激な配備拡張が近隣諸国に誤ったメッセージとなる」とも語った。
玉城氏は今回の訪米で、国務・国防総省の日本担当者や議員らと面会、沖縄県で相次いだ米兵による性的暴行の再発防止や米軍基地周辺から有機フッ素化合物が検出されている問題について訴えた。
*インタビューは11日にオンラインで実施しました。
(豊田祐基子、Tim Kelly 編集:久保信博)