ニュース速報
ワールド

中国、オンラインゲームの新規制案公表 利用者の支出抑制狙う

2023年12月22日(金)22時58分

12月22日、中国の国家新聞出版署は、オンラインゲームに関する包括的な規制案を公表した。写真は2019年5月撮影(2023年 ロイター/Florence Lo)

Josh Ye

[香港 22日 ロイター] - 中国の国家新聞出版署は22日、オンラインゲームに関する包括的な規制案を公表した。ユーザーに利用を促すリワードと呼ばれるインセンティブや利用者の支出を制限することが目的で、ゲーム市場に打撃となる。

中国政府は、若年層の「ゲーム中毒」を懸念し、未成年がビデオゲームを楽しむ時間に一定の制限を設けたり、新規ゲームの認可を一時中断したりした。こうした取り締まりは昨年、正式に終了し、ゲーム認可手続きも再開したが、ユーザーへの課金を抑制する措置は取っていた。

22日発表された規則案では、毎日のログイン、初めての課金、連続での課金などへのリワード提供といったオンラインゲームで一般的な慣行を禁じる。ユーザーがゲーム内でデジタルウォレットにチャージできる金額にも制限を設けるよう命じた。

「ガチャ」と呼ばれる有料のくじを未成年に提供することを禁止したほか、ゲームアイテムのオークションを防ぐよう求めた。

ユーザーデータの管理に対する懸念からゲーム会社にサーバーを国内に置くことを義務付けた。

一方で、ゲームの承認を60日以内に処理することも盛り込まれた。

来年1月22日まで一般から意見を募集する。

発表を受け、ゲーム会社の業績への影響を巡り懸念が広がり、香港株式市場で世界最大のゲーム会社である騰訊控股(テンセント・ホールディングス)の株価は一時16%下落。同業のネットイースも一時25%急落した。

欧州時間になり、テンセント株を26%保有するテック投資家のプロサスも序盤で14.2%下落した。

テンセントのゲーム部門幹部は、規制の要件を厳格に履行していくと述べた。発表された規則案については、ゲーム企業が妥当なビジネスモデルを持つことを目指す当局の方針から逸脱するものではないとの認識も示した。そのうえで、未成年のゲーム中毒問題が当局の重要課題になった2021年以降、自社のゲームに未成年者がかける金額や時間はこれまでよりも低水準にとどまっていると説明した。

大華継顕(UOB Kay Hian)の機関投資家営業担当エグゼクティブディレクター、スティーブン・レオン氏は「規制そのものが問題ではなく、政策リスクが大きすぎる」と指摘。「この種のリスクはもう終わったと考えられ、ファンダメンタルズに目を向けるようになっていたため、信頼感を大きく傷つけることになる」と指摘した。

モーニングスターのアナリスト、アイバン・スー氏は1日当たりのアクティブユーザー数が減少したり、アプリ内課金による収入が減ったりする公算が大きいと述べた。「ゲーム会社はゲームのデザインや収益戦略の見直しを迫られる可能性がある」との見方を示した。

ある業界幹部は新規則について、新たな取り締まりではなくゲーム業界健全化の取り組みの一環だとし、市場は過剰に反応していると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と初会談 「多くの

ワールド

ウ大統領、和平案巡り「困難な選択」 トランプ氏27
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中