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中国の習近平国家主席、輸入関税引き下げと市場開放を約束

2018年11月05日(月)16時01分

 11月5日、中国の習近平国家主席(写真)は、輸入関税の引き下げと市場アクセスの拡大を継続することを約束した。この日から10日まで上海で開催される中国国際輸入博覧会の開幕に当たり述べたもの。同博覧会で撮影(2018年 ロイター/Aly Song)

[上海 5日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は5日、輸入関税の引き下げと市場アクセスの拡大を継続することを約束した。この日から10日まで上海で開催される中国国際輸入博覧会の開幕に当たり述べたもの。

習国家主席は教育・通信・文化分野で開放を加速する一方、外国企業の利益を守ると述べた。さらに、知的財産権の侵害について懲罰的な法の執行を強化するとも話した。

中国は、米中間などの貿易摩擦が拡大する中、国際輸入博覧会を開催。博覧会には外国企業数千社と中国のバイヤーが参加、中国の潜在的な輸入能力をアピールする狙いがある。

習主席は「(博覧会は)中国の市場を積極的に世界に開放する大規模な取り組みだ」と発言。博覧会は自由な国際貿易を支持する中国政府の意思の表れであり、他国も開放的な政策を追求し、保護主義に反対すべきだとの認識を示した。

習主席は「経済のグローバル化が後退に直面している。多国間主義と自由貿易制度が攻撃されている。多くの不安定要素、不透明要素があり、リスクと障害が増えている」と述べた。

習主席によると、中国は今後15年間で30兆ドル相当のモノと10兆ドル相当のサービスを輸入する見通し。昨年は、今後15年で24兆ドル相当のモノを輸入するとの見通しを示していた。

昨年の中国のモノの輸入は16%(2550億ドル)増の1兆8400億ドル。うち米国からの輸入は約1300億ドルだった。

オックスフォード・エコノミクスのアジア経済担当トップ、Louis Kuijs氏は、習主席の演説について「必ずしも革新的な改革の発表があったわけではないが、中国が、対外開放を今後もさらに進めていくというイメージを強く印象付けたいと考えていることが裏付けられた」と述べた。

欧州連合(EU)は、中国に対し、外国企業への一段の市場開放と公平な競争環境の整備に向けて具体策を講じるよう求めている。

輸入博には、ロシア、パキスタン、クック諸島など17カ国の首脳が参加予定。欧米の大国の首脳は参加を見合わせている。

一部の西側外交官・企業は、今回の輸入博について、中国がこれまで行ってきた不公正貿易を覆い隠すための見せかけのイベントにすぎないとの見方を示している。

輸入博には、世界約140カ国・地域の企業が参加。国別では日本が404社で最多。米国からはグーグル、デル、フォード、ゼネラル・エレクトリック(GE)など136社が出展する。

*内容を追加しました。

ロイター
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