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イタリア予算案、危機再燃リスクに ユーロ圏高官が懸念表明
10月1日、ユーロ圏高官は、イタリア連立政権が示している来年度予算案について、ユーロ圏の危機再燃につながる恐れがあると警告し、イタリアに予算案の修正を求める考えを示した。写真はユーログループのセンテーノ議長。4月にワシントンで撮影(2018年 ロイター/Aaron Bernstein)
[ルクセンブルク 1日 ロイター] - ユーロ圏高官は1日、イタリア連立政権が示している来年度予算案について、ユーロ圏の危機再燃につながる恐れがあると警告し、イタリアに予算案の修正を求める考えを示した。
イタリア連立政権は27日、2019年の財政赤字を対国内総生産(GDP)比2.4%と、これまでの政権が掲げてきた計画の3倍に当たる水準とすることで合意した。
債務危機再燃への懸念から、市場ではイタリア国債が売り込まれた。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のユンケル委員長はドイツで行った講演で「イタリアはEUとして合意している財政目標から逸脱している。ギリシャ危機に首尾よく対処し終わったところで、イタリアで同様の危機が発生するのは見たくない」と述べた。
また「もう危機は十分だ」とし、「イタリアが特別待遇を受けるのを回避する必要がある。すべての国が特別待遇を受ければ、ユーロの終わりを意味することになる」と述べた。
ユンケル委員長の発言を受け、イタリアのトリア経済・財務相は、ユーロが終わりを迎えるとは思わないと述べた。
ルクセンブルクで開かれたユーロ圏財務相会合(ユーログループ)では、イタリアの予算案は公式議題ではなかったものの、オランダのフクストラ財務相やフランスのルメール経済・財務相がトリア経済相に説明を求めた。
ユーログループのセンテーノ議長は会合後の記者会見で「イタリア政府による先の発表を受け、同国の財政軌道を巡り早期に対応すべき懸念が浮上した」と指摘。「どの国もユーロの制約を受ける。ユーロを守るためには健全な政策が必要だ。持続可能で信頼の置ける財政計画があることを示すかどうかはイタリア政府次第だ」と述べた。
当局者らによると、トリア氏は会合の席で予算案について、最終案は確定しておらず、依然政府内で議論していると説明し、修正の可能性に含みを残したという。
だが同氏は会合後、赤字目標修正の可能性を巡る記者団の質問に答えず、他のEU加盟国も過去にEUの財政規律に違反した経緯があると強調した。
イタリアの公的債務は対GDP比133%に上り、EU規則によると同国は公的債務を削減する必要がある。
イタリアは10月15日までに19年度予算案を提出する必要がある。欧州委員会は1週間以内に同案がEU規則に明確に違反しているか判断し、さらに1週間以内に予算案の修正を求めることになる。
欧州委が加盟国の予算案を審査する権限を得た2013年以来、予算案が拒否されたケースはない。
モスコビシ欧州委員(経済・財務・税制担当)は記者会見で「イタリアが中期目標、つまりEU財政ルールに戻るよう説得を試みる」と述べた。
また、財政赤字の対GDP比率を2.4%とするイタリアの予算案の下で同国の公的債務の削減が可能かどうか現時点で判断することはできないと指摘。規則は守る必要があるとする一方、イタリアが予算の最終案を提出するまでの2週間、イタリア政府との対話を継続する意向も示した。
ルメール仏財務相は、ユーロ圏諸国が段階的にイタリアに圧力を掛けるとの見方を示し、ポピュリスト(大衆迎合主義者)や一国主義の脅威が高まる中、EU規則を尊重することが非常に重要だと述べた。
*カテゴリーを一部変更しました。