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トルコ政府、反エルドアン勢力の排除を加速 軍人除隊やメディア108社閉鎖など

2016年07月28日(木)15時45分

 7月28日、トルコのエルドアン政権は27日、クーデター未遂事件の首謀者とみなす米国在住のイスラム教指導者ギュレン師の支持者を一掃する動きを加速させた。イスタンブールで24日撮影(2016年 ロイター/Osman Orsal)

 トルコのエルドアン政権は27日、クーデター未遂事件の首謀者とみなす米国在住のイスラム教指導者ギュレン師の支持者を一掃する動きを加速させた。1700人近い軍人を解雇し、131カ所のメディアの拠点を閉鎖するなどした。西側同盟国からは一段と懸念の声が高まりそうだ。

15─16日に発生したクーデター未遂事件以降、これまでに警察官、裁判官、教師など数万人が停職となったり、身柄を拘束されたりしている。

匿名の当局者によると、未遂に終わったクーデターに関与したとして27日に軍人1684人を不名誉除隊処分とし、このうち149人が軍司令官だった。データによるとトルコ軍司令官全体の約40%に相当する。

テレビ局のCNNトルコは、同国内相の話として、クーデター未遂をめぐって既に軍人約1万人を含む1万5000人以上が拘束されたと報じた。このうち8000人以上が逮捕され、裁判を待っているという。

また官報によると、政府は通信社3社、テレビ局16社、新聞社45社、雑誌15社、出版社29社に活動停止を命じたとしている。

これ以前にも、ギュレン師寄りとみられるメディアの活動を停止し、ジャーナリストらを拘束していた。

米政府は27日、トルコがクーデター未遂の実行者の責任を問う必要があるのは理解できるが、拘束するジャーナリストが増えるのは憂慮すべき傾向だと述べた。

当局者によると、政府は27日、新たに47人のジャーナリストの拘束を命じた。政府に批判的だった有力紙「ザマン」のコラムニストや他のスタッフなどが対象。同紙は3月、ギュレン師が関与しているとして政府の管理下に置かれた。

与党の公正発展党(AKP)と野党各党は、クーデター未遂事件後は珍しく団結した姿勢を示し、国家機関からギュレン師の支持者を排除することなどを目的に憲法改正を目指している。

また、クーデター未遂事件が起きた夜に、地中海のリゾート地にいたエルドアン大統領の捕捉または殺害を企てたとして、特殊部隊が11人の兵士の行方を追っていることを当局者は明らかにした。



[アンカラ/イスタンブール 28日 ロイター]

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