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インタビュー:プライベートデット拡大へ運用会社買収も視野 海外の知見取り込みたい=野村HD社長

2025年12月15日(月)08時16分

写真は 野村ホールディングスの奥田健太郎社長。都内で2022年5月撮影。 REUTERS/Issei Kato

Miho Uranaka Anton Bridge

[東京 15日 ロイター] - 野村ホールディングスの奥田健太郎社長はロイターのインタビューに応じ、オルタナティブ(代替)資産の拡大に向けてプライベートデット(銀行以外の主体による融資)を手がける運用会社の買収も視野に成長投資を検討していることを明らかにした。欧米のプライベートデット市場の知見を取り込み、日本市場でも本格展開を目指す。

野村HDは、すでに米国で自社運用のプライベートクレジット・ファンドを立ち上げているが、さらに英国で同資産の運用会社パーク・スクエア・キャピタルと提携。奥田氏は、案件組成(オリジネーション)から融資、助言、販売までを一体化したクロスセル型ビジネスの構築を目指すといい、「資産運用業としてプライベートデットを手がける会社を、チャンスがあれば投資や買収してノウハウを取り込みたい」と語った。

オルタナティブ分野としては、実物資産を運用対象に広げており、新規投資も検討する。買収した豪マッコーリー・グループの欧米の株式や債券という伝統的資産を運用する事業にボルトオン(補完型買収)する形で拡充するという。

他社との提携や買収などを通じたインオーガニックな拡大戦略と並行し、ダイレクトレンディング(直接融資)を含むオリジネーション機能を早期に立ち上げたい考えだ。

奥田氏によると、こうした動きの狙いは海外で培われたプライベートデットのノウハウを日本市場に導入することにある。「金利上昇でクレジットスプレッドが広がり、プライベートデットやメザニン(出資と融資の中間)の需要が生まれる」と述べた。オルタナティブ資産を「投資家のポートフォリオを安定化させ、収益を高める上で非常に重要な要素」と位置づけ、日本市場は拡大余地が大きいとみる。

野村HDは、株式・債券中心の事業構造から、安定的な手数料収益を生む運用ビジネスへの転換を進める中で、オルタナティブ資産の運用残高を2031年3月に約10兆円へと引き上げる目標を掲げている。

2026年3月期上期には自己資本利益率(ROE)11.3%、税前利益2969億円を確保し、30年までの目標として掲げるROE8―10%以上の安定的達成や税前利益5000億円超に向けて着実に成果を上げている。収益の安定性が高まる中、投資を加速して成長のスピードを一段と引き上げる。

奥田氏は今後の課題として海外のインベストメント・バンキング部門の強化を挙げた。グローバル・マーケッツ部門は順調に拡大する一方、M&A(合併・買収)助言などの投資銀行業務は「時間がかかっている部分がある」と明かし、特に米国で顧客企業との関係拡大が必要と語った。

日本企業が関与するM&A案件のうち金額ベースで6割以上は米国関連で、米国のファンドや企業とのネットワークを広げることが、日系やアジアの企業のニーズにも合致すると指摘。専門人材の採用などを通じて「米国のオリジネーション力(案件発掘力)を高め、日本と米国、双方向のM&Aができる体制を整えたい」と話した。

一方、「全ての分野で戦うのは難しい」としてセクターやエリアを特定し、差別化を推し進める方針だ。インオーガニック戦略に関しては、部分出資する形ではなく、「自社のリーダーの指示で動くチームをつくることが重要」と強調。出資先では意思決定や動機が一致しづらく、顧客サービスの質を保ちにくいことを理由に挙げた。

20年には、サステナビリティ関連に特化した米M&A助言会社グリーンテック・キャピタルを買収しており、今後こうした買収も念頭に置いているという。現在はチーム単位での人材移籍(リフトアウト)による強化を進めていると説明した。

M&A助言に関連するファイナンスや為替取引を組み合わせるなどのクロスセル強化を進める考えも示した。

日系企業による国境を超えるM&Aが広がる中、日系金融機関では、みずほフィナンシャルグループが米グリーンヒルを買収し、三井住友フィナンシャルグループが米ジェフリーズ、三菱UFJフィナンシャル・グループが米モルガン・スタンレーにそれぞれ出資するなど、海外助言会社への出資や買収を通じてM&A助言業務の拡充を進めており、競争環境は厳しさを増している。

ロンドン証券取引所グループ傘下の金融市場データを扱うリフィニティブによると、2025年の日本企業関連のM&Aのリーグテーブルでは、現時点で野村HDが首位となっている。

※インタビューは11日に実施しました。

ロイター
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