ニュース速報
ビジネス

アングル:ウォール街決算、プライム・ブローカレッジで巨額利益

2025年10月16日(木)09時39分

 10月15日、米ウォール街の機関投資家向けの総合的な金融サービス事業であるプライム・ブローカレッジ・ビジネスが数十億ドル規模に達し、フル稼働している。ニューヨークで3月11日撮影(2025年 ロイター/Shannon Stapleton)

Anirban Sen

[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米ウォール街の機関投資家向けの総合的な金融サービス事業であるプライム・ブローカレッジ・ビジネスが数十億ドル規模に達し、フル稼働している。

JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカといった米大手銀行が7─9月期決算で、プライム・ブローカレッジ事業の好調から多額の利益を計上した。この事業はヘッジファンドに現金や証券を貸し出し、大規模な取引の執行を支援するサービスだ。

ウォール街のプライム・ブローカレッジ事業は今年、各業種の企業評価額が高騰した恩恵を受けている。一部の銀行は、資産価格が持続不可能なほど高くなっている可能性があると警告している。

しかし、米国の金融大手は今のところ互いに、また欧州の競合他社と、市場シェアをより多く獲得しようと争っている。今年はトランプ政権の関税政策が引き起こした世界的な市場の激しい価格変動のために、取引活動が活発化している。

ヘッジファンドの新規設立数と既存ファンドの規模はここ数年間で急激に拡大し、ファンドのレバレッジ比率は今年初めに過去5年間で最高水準に達したと、ロイターは報じている。

JPモルガンの7─9月期決算は株式市場部門の収益が33%急増の33億ドルとなり、とりわけプライム融資が好調だった。

モルガン・スタンレーの株式収益は35%増の41億2000万ドルで、プライム・ブローカレッジが過去最高を記録し、債券関連取引部門の収益も8%増加した。

モルガン・スタンレーのシャロン・イェシャヤ最高財務責任者(CFO)は15日のアナリスト向け説明会で「プライム・ブローカレッジ収益が業績をけん引し、平均顧客残高とファイナンス収益が過去最高を記録した」と語った。

シティグループのジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は14日、アナリストに対し、プライム融資事業の収益成長の可能性を踏まえてサービスにさらに注力していると述べた。シティの7─9月期決算はプライム残高が44%急増し、株式市場事業の収益を押し上げた。この部門の収益は24%増の15億ドルに跳ね上がった。

ゴールドマン・サックスは14日、株式部門の収益が7%増の37億4000万ドルになったと発表した。主な要因はプライム融資事業を含む株式ファイナンシングによる純手数料の増加だった。

ゴールドマンのデニス・コールマン最高財務責任者(CFO)はアナリスト向け電話会見で「残高は市場全体の水準と非常に強く相関関係があり、これは(プライム・サービスとファイナンシング)事業の魅力的な特徴だ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ米政権、日本のロシア産エネ輸入停止を期待=

ビジネス

焦点:過熱するAI相場、収益化への懸念で市場に警戒

ビジネス

午前の日経平均は続伸、米ハイテク株高や高市トレード

ワールド

ハンガリー外相、EUのロシア産エネルギー輸入廃止を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇跡の成長をもたらしたフレキシキュリティーとは
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 7
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中