米コロンビア大の伊藤隆敏教授が死去、インフレターゲット論者

9月24日、伊藤隆敏・米コロンビア大学教授(写真)が20日に死去したと、同教授の研究室が発表した。写真は2017年10月、都内で撮影(2025年 時事通信)
Takahiko Wada
[東京 24日 ロイター] - 伊藤隆敏・米コロンビア大学教授が20日に死去したと、同教授の研究室が発表した。74歳。病気療養中だったという。伊藤教授はマクロ経済や国際金融研究の第一人者で、インフレターゲットの導入論者として日銀の金融政策運営に影響を与えた。
伊藤氏は1950年生まれ。79年にハーバード大学大学院経済研究科博士課程を修了、博士号を取得した。一橋大経済研究所教授、東京大大学院経済学研究科教授を経て2015年1月にコロンビア大国際関係・公共政策大学院教授に就任した。
黒田東彦前日銀総裁とは旧知の間柄。99年には財務官だった黒田氏の下で副財務官に就いた。08年には福田康夫内閣(当時)が伊藤氏を日銀副総裁に起用する人事案を国会に提示したが、当時は衆参で多数党が異なる「ねじれ国会」の状況にあり、参院で人事案が否決された。
伊藤氏は植田和男総裁の下で日銀が行った四半世紀の金融政策運営を振り返る「多角的レビュー」でも、研究会のパネリストとして発言した。24年12月のとりまとめでは、多角的レビューを「学問的にも、政策的にも、大変に意義深い」と評価する一方、「その時々の金融政策決定が正しかったか、間違っていたか、という問題提起や政策分析は避けられている」とのコメントを寄せた。