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日経平均は初の4万4000円、総裁選トレードで弾み 過度な期待に警戒も

2025年09月09日(火)11時23分

 9日の東京市場で日経平均は初めて4万4000円の大台に乗せた。写真は2020年10月、東京証券取引所で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Noriyuki Hirata

[東京 9日 ロイター] - 9日の東京市場で日経平均は初めて4万4000円の大台に乗せた。自民党の総裁選挙を控える中、財政拡張的な政策が打たれるとの期待感が株高に弾みをつけている。一方、バリュエーションは高くなっており、過度な織り込みを警戒する声も浮上している。

日経平均は寄り付き後すぐに過去最高値を更新し、4万4000円を上抜けた。前日の米国市場で利下げ期待を背景に株高となったことを受けて東京市場で買いが先行したことに加え、国内メディアが、自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が総裁選に出馬する意向を固めたと報じたことが上昇に勢いをつけた。

「市場関係者は小泉進次郎農相と高市早苗前経済安全保障相が優位とみている」と三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは指摘する。それぞれ政策は異なるものの、石破首相よりはうまい具合に挙党体制を築けるはずとの期待があるという。

「長い目で見れば4万4000円は通過点といえる」としんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーは指摘する。政策が今後、しっかり打たれれば名目国内総生産(GDP)は伸びるだろうとの見立てが背景にある。

米半導体株高を受けてアドバンテストが急伸し、上場来高値を更新。東京エレクトロンも堅調で、2銘柄で約280円近く日経平均を押し上げている。ドル/円は円高方向となっているが、輸送用機器などの輸出株もプラスが目立つ。

ただ、大台に乗せた後は、伸び悩みも見られる。日経平均は前日までの3日間で1700円上昇したこともあり、利益確定売りが上値を抑えている。今週は米国で8月米生産者物価指数(10日)、8月消費者物価指数(11日)とインフレ指標の発表を控えており、米利下げの観測に影響を与えるか見極めようとする動きもありそうだ。

市場では、過度な期待の織り込みを警戒する声も出ている。出馬の意向が伝わった高市氏はプライマリーバランス(基礎的財政収支)目標の凍結に言及したことがあったが、2%の物価目標を達成するまでとの主張だった。「足元でインフレが3%になっている中で、以前と同様に金融緩和を主張するかはわからない」としんきんAMの藤原氏はみている。

日経平均の株価収益率(PER)は通常時よりかなり高い約18倍となっている。「バリュエーション面では説明がつかないほど上昇しているため、短期的には売りが出やすいとみている」とマネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは話している。

ロイター
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