マクロスコープ:今夜米雇用統計、局長解任後初 日本当局者「連続性の担保カギ」

9月5日、トランプ米大統領が異例の局長解任に動いてから初となる米雇用統計が午後9時半(日本時間)に発表される。ホワイトハウス8月撮影(2025年 ロイター/Jose Luis Gonzalez)
Tamiyuki Kihara Yusuke Ogawa
[東京 5日 ロイター] - トランプ米大統領が異例の局長解任に動いてから初となる米雇用統計が5日午後9時半(日本時間)に発表される。統計の「政治的改ざん」を理由に前任者の職を解き、自身が好む保守系シンクタンクのエコノミストを後任に据えたことから、日本の当局者や民間エコノミストからは統計の信頼性に疑義が生じかねないと懸念の声が上がっている。
ある経済官庁の幹部は「米雇用統計は国内のマーケットにとっても有用性をもって受け止められてきた」と話す。これまでの蓄積により雇用統計特有の「バイアス」を含めて広く市場が認識を共有していることも有用性を高めてきた大きな要因だという。
雇用統計にかかわらず、経済指標は連続性が重要で、今後、この「バイアス」が当てはまらなくなれば、指標としての信頼性にキズがつく。同幹部は「仮に統計の方法を変更する場合、それが透明性をもって行われるか否かが重要だ」と指摘。「透明性が下がらない限りは、統計の有用性に大きな問題は起きないだろう」とも付言した。
別の経済官庁幹部は、他の指標とあまりに食い違いが大きい場合や、算出方法などへのトランプ大統領の「介入」が明るみに出るなどした場合は市場の捉え方に変化が出てくる、と警戒する。
トランプ大統領は、中央銀行である連邦準備理事会(FRB)に対しても露骨に利下げ要求を繰り返しており、クック理事の解任を巡っては法廷闘争にまで発展している。
<統計に政治色は>
今回は8月分が発表される。金融市場が注目する非農業部門雇用者数は前月比7万5000人増と、7月の7万3000人増とほぼ変わらない伸びになる見込み。16-17日の次回の連邦公開市場委員会(FOMC)直前のタイミングだけに結果だけでなく、「政治色」がないかどうかも関心の的だ。
米雇用統計を巡ってトランプ大統領は、バイデン前政権時代に指名されたエリカ・マッケンターファー労働統計局長を不正に操作したとして解任。後任には保守派シンクタンク、ヘリテージ財団のチーフエコノミスト、E・J・アントニ氏を起用した。
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「新任者が政治色を出す可能性があり、統計の信頼性の低下につながりかねない」と懸念を示す。
大和総研の矢作大祐・主任研究員は「米政府効率化省(DOGE)の歳出削減の取り組みによって統計の精度が低下しており、統計局長の交代は(トランプ氏にとって)身から出たサビでもある」という。
<政策への影響>
米雇用統計は日本政府にとっても注目の指標の一つとされる。米国の金融政策に与える影響が世界経済に波及し、国内の物価や雇用、賃金などにも跳ね返ってくると位置付けられているからだ。
冒頭の経済官庁の幹部は、日本の経済政策への影響について仮に統計が非連続になった場合でも政策判断への影響は限られる、という。「これまでも何か一つの指標をみて物事を判断していない。今後も情報の質を丁寧に確認しながら総合的に判断していく」と語った。
大和総研の矢作氏は、今後は「短期的なブレに左右されないように、統計の読み手側にとって、長期トレンドを深堀りして分析することが重要になるだろう」と話した。
(鬼原民幸、小川悠介 編集:橋本浩)
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