ニュース速報
ビジネス

国債先物反落、30年金利が最高水準更新 財政懸念が相場圧迫

2025年09月03日(水)15時48分

 9月3日、国債先物中心限月9月限は、前営業日比23銭安の137円29銭と反落して取引を終えた。写真は円紙幣と日本国旗のイメージ。2017年6月撮影(2025年 ロイター/Thomas White)

[東京 3日 ロイター] - 国債先物中心限月9月限は、前営業日比23銭安の137円29銭と反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.630%。財政懸念を背景に超長期ゾーンの金利上昇幅が大きくなり、新発30年国債利回りは過去最高水準を更新した。

きょうの国債先物は、前日の欧米市場で国債が売られて夜間取引の円債先物も下落した流れが波及し、1日を通じて売り優勢の軟調な展開となった。終盤にかけては、米国債が時間外取引で売られたことも円債相場を圧迫した。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、自民党の森山裕幹事長ら党四役が辞意を表明して石破茂政権の基盤が揺らぐ中、財政規律派とされる石破茂首相(党総裁)の退陣が連想されて超長期ゾーンを中心に国債が売られたと指摘。さらに英国やフランスでも、同様に政治・財政への不安により超長期金利が十数年以上ぶりの水準に急上昇しており、その流れへの連鎖も相まって強い売り圧力になったという。

このほか、日銀がこの日実施した短中期・超長期ゾーン対象の国債買いオペは「総じて悪くない結果」(国内運用会社)と受け止められ、追加的な売り材料とはならなかった。

現物市場で10年物以外の新発国債利回りもおおむね上昇。超長期ゾーンの金利上昇が目立ち、イールドカーブはスティープ化した。

2年債は前営業日比横ばいの0.865%、5年債は同1.0bp上昇の1.155%。20年債は同6.0bp上昇の2.680%。一時1999年10月以来約26年ぶり高水準の2.690%をつける場面もあった。30年債は同8.5bp上昇の3.285%と過去最高水準を更新した。40年債は同9.0bp上昇の3.535%。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「政局と財政政策を巡る不透明感が投資家の買い手控えにつながっている。金利が上がれば買い手がいなくなり、買い手がいなくなれば金利がさらに上昇する、との悪循環が足もとで一層強まっている」との見方を示した。

短期金融市場で無担保コール翌日物の加重平均レートは、前営業日(0.478%)から横ばい圏の見通し。「きょうも試し取りが多くあったが、引き続きビッドサイドの資金調達ニーズは強めだった」(国内金融機関)との声が聞かれた。

大阪取引所のTONA3カ月金利先物の9月限(最終取引月は25年12月)は同横ばいの99.4650。

TRADEWEB

OFFER BID 前日比 時間

2年 0.858 0.865 -0.003 15:02

5年 1.152 1.159 0.009 15:03

10年 1.624 1.63 0.03 15:12

20年 2.68 2.687 0.058 15:08

30年 3.279 3.288 0.083 15:12

40年 3.523 3.534 0.085 15:09

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

新浪氏、サプリ巡り潔白を主張 同友会代表幹事の活動

ワールド

赤沢再生相、4日から訪米 米国の関税措置巡り

ワールド

ロ朝首脳が会談、派兵にプーチン大統領謝意 支援継続

ビジネス

EU、ステーブルコイン規制の抜け穴ふさぐべき=EC
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中