新浪氏、サプリ巡り潔白を主張 同友会代表幹事の活動は当面自粛

9月3日午後、経済同友会の新浪剛史代表幹事(写真)は会見し、米国で購入したサプリメントを巡って自身の潔白を主張する一方、「大好きなサントリーに絶対迷惑かけてはいけない」と述べ、サントリーホールディングスの会長職を辞任した理由を説明した。9月3日、東京で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
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Maki Shiraki
[東京 3日 ロイター] - 経済同友会の新浪剛史代表幹事は3日、予定通り定例会見を開き、警察の捜査を受けたサプリメントについて自身の潔白を主張した。サントリーホールディングス(HD)の会長職を辞任した理由については「大好きなサントリーに絶対、迷惑かけてはいけない」と説明。代表幹事職については同友会の判断に委ね、活動を当面自粛すると明らかにした。
新浪氏は代表幹事を辞任しない判断について、「警察から捜査を受けた会長、社長は辞めるという前例を作ってはいけないと思う」と話した。代表幹事職は当面、筆頭副代表幹事の岩井睦雄氏(日本たばこ産業(JT)会長)が代行する。
会見に同席した岩井氏は、3日朝に経済同友会の理事や幹事が集まり議論したと説明。「(新浪氏が)今すぐ辞めるべきだという話は出なかった」と述べ、新浪氏の処遇については今月中にも判断し、外部の弁護士にも意見を仰ぐ意向を示した。経済財政諮問会議の民間議員などの役職については政府の判断に委ねる。
サントリーHDの会長辞任後初めて会見した新浪氏によると、購入したのは大麻草由来の「CBD(カンナビジオール)」のサプリ。米ニューヨークで知人から紹介された市販品だという。米国で購入した理由について「(海外)出張が多く、時差ぼけがすごく多いため、私の健康を守る知人から強く勧められた。(値段が)大変高いものであり、日本より米国の方が圧倒的に安いという経済的な意味合いだ」と述べた。
CBDは日本では合法で、新浪氏は「適法」と認識していたが、同氏によれば、持ち込みが厳しいドバイ経由で米国から帰国する予定だったことから、その知人が日本に持ち込むことになった。
知人は日本へ入国後、新浪氏の自宅へサプリを送付。しかし、同氏が手にすることはなかったという。その後、同じ知人がその弟に再度サプリを新浪氏へ送るよう指示。同氏が送付を依頼していなかったこの2回目のサプリが、警察の捜査対象になった。
新浪氏は最初のサプリが手元に届かなかった理由について「おそらく家族が廃棄したものと考えている」と説明。海外出張の多い自身が留守中に届いた送り主の分からないものに関しては廃棄する取り決めが家族内にあったとした。2回目のサプリも届いておらず、「私が適法と認識していた、購入したサプリメントと同一であるか分からない」、「私は法を犯しておらず、潔白であると思っている」などと話した。
2日に新浪氏の辞任を発表したサントリーHDによると、同氏が警察の捜査を受けていると取締役会に報告したのは8月22日。新浪氏は翌日から米国へ出張し、帰国した9月1日に鳥井信宏社長と協議して辞表を出した。
新浪氏は「サプリを販売する会社にも関わらず、国内での合法性に疑義が持たれるようなサプリを米国で購入したことは不注意であり、役職に耐えないという認識を(会社から)示された」と説明。「会社の判断に従い、手続き的な迷惑をかけないようにして自ら辞することにした」と語った。
新浪氏が周囲に「クーデターではめられた」などと発言していたと報じられていることについては「していない」と否定した。
新浪氏はコンビニエンスストア大手ローソンの会長を経て、サントリーHDの創業家出身の佐治信忠会長からの要請で2014年10月、創業家以外からは初めて同社社長に就任した。買収した蒸留酒大手の米ビームとの統合を進めるなど、サントリーの海外成長をけん引した。
新浪氏は「もっともっといろんなことをやっていきたかったという思いはすごくある。(自分が)種をまいてきたところに意思を持った人たちがいるので、最終的に大きな木に花が開くようにやっていってもらいたい」と述べた。
新浪氏は1日付でサントリーHDの会長を辞任。新浪氏が適法との認識で購入したサプリが警察の捜査対象となったことが要因で、サントリーHDは「代表取締役会長という要職に堪えないと判断した」としている。